香川のアートな離島「粟島」がアツい!元船乗りの記憶を紡ぐ芸術家と、島民の心温まる物語。

ライブ5時 いまドキッ!

 岡山や香川の市街地から、少し足を延せばたどり着く非日常の空間、瀬戸内海の島々。

今回は香川県三豊市にある「粟島(あわしま)」のアートプロジェクトをご紹介します。
ただ作品を見るだけじゃない、島の歴史と人の温かさに触れる、特別な体験が待っていました。

 

■かつての海の男たちの記憶が、アートに蘇る




粟島を訪れると、モンゴルの移動式住居「ゲル」をモチーフにした、ひときわ目を引くアート作品に出会います。



これはアーティスト、タオリグ・サリナさんの作品「航海する記憶の船 -ノマドギャラリーin粟島-」。



彼女がこの島で表現したのは、世界中の海を駆け巡った船乗りたちの記憶です。

実は粟島には、かつて日本初の国立海員養成学校がありました。



国立粟島海員学校・・・
明治30年にできた”日本初の海員養成学校”
閉鎖後は粟島海洋記念館として多くの資料を展示※2025年10月現在は改修工事中




島のおじいちゃんたちには元船乗りが多く、彼らが語る世界中の港での思い出話が、この作品のインスピレーションの源になっています。



作品の周りを飛ぶ無数のカモメのオブジェ。船乗りたちにとって、どの港にも必ずいたというカモメは、まさに思い出の象徴。

ゲルの中から見上げると、天窓からカモメたちが大空へ飛び立っていくかのよう。



島の竹を島民の方と協力して切り出し、2ヶ月かけて作り上げたというこの空間は、島の歴史と人々の思いが詰まった、まさに粟島ならではのアートです。

 

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アートを支える島の人々との温かい絆

 
 
 
粟島でのアート制作は、アーティストだけで完結するものではありません。アーティストたちは約4ヶ月間、島に滞在して制作活動を行いますが、その生活を支えているのがボランティアや島民の皆さんです。
 
「夜はコンビニも何もないから」と、夕食を差し入れたり、制作を手伝ったり。



アートを通じて生まれた強い絆が、島全体を一つの温かいコミュニティとして包み込んでいます。

 

■古民家と船が一体化?記憶を再生する驚きのアート




次にご紹介するのは、思わず「何だこれは!?」と声が出てしまうようなインパクト抜群の作品。






石垣から自転車が飛び出し、古民家の屋根にはなんと船が突き刺さっています。


 
ここは、「お化け屋敷」・・・ではなく、長年空き家だった元駄菓子屋。




アーティストの青野さんが、この古民家と使われなくなった船を融合させ、一つの作品として蘇らせました。


 
コンセプトは「修復」と「再生」。

驚くことに、作品に使われている材料は、船以外はすべてこの家に残されていたもの。 忘れ去られ、埋もれていくものにもう一度光を当て、主役にしてあげたいという思いが込められています。



青野さん曰く、瓦屋根の連なりが瀬戸内海の波に見えたことから、このイメージが生まれたそうです。
 

 
家の中に眠っていた記憶と、役目を終えた船の記憶。異なる記憶が交差し、全く新しい物語を紡ぎだすこの作品は、私たちに「価値」とは何かを問いかけているかのよう。
 
粟島のアートは、単に美しいだけではなく、島の歴史、人々の記憶、そして未来への希望が込められています。
 

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