【岡山・香川から日帰りも!】うどん?そうめん?徳島県つるぎ町で出会った「半田そうめん」の秘密と絶品製法

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 吉野川沿いの美しい風景が広がる徳島県つるぎ町。
高松駅から車を走らせること約1時間15分。山の緑が濃くなり、清流・吉野川がすぐそばに寄り添うようになると、視界が開けて穏やかな町並みが見えてきます。この町で、ある特別な麺に出会いました。



四国を縦断するように流れる吉野川は、その豊富な水量から「日本三大暴れ川」の一つに数えられ、「四国三郎」の異名も持つ雄大な川。



つるぎ町は、この吉野川の中流域に位置し、徳島県の最高峰である剣山への登山道入り口へ最も近い町としても知られています。晴れた日には、町の奥にそびえる剣山の雄大な姿を望むこともできます。



そんなつるぎ町を訪れた際に立ち寄ったのが、町への入り口にある「道の駅貞光ゆうゆう館」です。
 

■旅の休憩スポット「道の駅貞光ゆうゆう館」




道の駅貞光ゆうゆう館は、旅の途中に立ち寄るのにぴったりの場所。



レストランや産直市、物産館があり、地元の特産品が手に入ります。道の駅の向かい側には、広い敷地を持つ「ゆうゆうパーク」があり、パークゴルフ場やサッカー場も完備されています。体を動かしてリフレッシュするのもとても良いです。



道の駅のレストランでは、徳島のご当地グルメとして有名な阿波尾鶏の鉄板焼きも楽しめるそうです。地元の新鮮な食材を使った料理も気になるところですが、この道の駅には、地元で愛される特別な麺があるという情報を耳にしました。
 

■噂の「半田そうめん」とご対面




道の駅には、「半田そうめん」の特設コーナーが!



そうめんと言えば、夏の定番で細くてツルツルっとしたイメージですが、ここにある半田そうめんは、少し太めに見えます。一体どんなそうめんなのでしょうか?

半田そうめんとは、つるぎ町の中でも特に半田地区で作られているそうめんのこと。この半田地区には、約20軒以上の製麺所がある、まさに麺どころなのです。
そして、半田地区で作られる「やや太めのそうめん」だけが、半田そうめんと呼ばれています。



一般的なそうめんよりも太く、かといってうどんほどではない。そうめんとうどんの中間のようなその太さは、分類でいうと「ひやむぎ」に近いそうです。
 

■300年の歴史を守る製麺所へ潜入!




この特別な半田そうめんの魅力をもっと知りたい! という思いから、「半田 オカベの麺」の本社工場を訪ねました。

半田そうめんがなぜ一般的なそうめんより太いのか、その歴史を伺ってみると、そこには意外なストーリーが。



半田そうめんは、江戸時代の中期に奈良県の三輪地域から伝えられたと言われています。

当時、徳島の城下町から吉野川の上流地域への物資の輸送は、川舟に頼っていました。その川舟の船頭たちが、自分たちで食べるために、見よう見まねで手間をかけずに作ったのが始まりだとか。



手軽に作れるように工夫した結果、自然と太い麺になったと言われているそうです。

 


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 ■驚きの製法!「半田そうめん」はどうやって作られる?




工場の中に入ると、まるで生きているかのように麺が姿を変えていく様子を見ることができました。



まず、生地作り。
”多加水製法”という製法で、耳たぶくらいの柔らかさに調整されます。
その日の気温によって水の量を変え、麺が常に一定になるように細心の注意を払うそうです。




練りあがった生地は、「麺圧機」という機械へ。これは、昔の足踏み式の工程を引き継ぐもので、これで生地に圧をかけることで、半田そうめん独特の「コシ」が生まれるのだとか。




さらに驚きなのは、次に現れる麺の姿。麺圧機から出てきた帯状の生地を、いったん1本の太い帯に仕上げます。
それを少し休ませた後、なんと「三つ編み」のように、3本の帯を1本に、さらに2本の帯を1本に合わせていくんです!




この工程を経ることで、麺はまるでミルフィーユのように18もの層を持つことになるそうです。




そして「かけば」という工程へ。2本の棒に麺を8の字を描くようにかけていきます。これをねじって引っ張ることで、さらにコシが出てくるそうです。



次に「旗かけ」。かけばで8の字にかけられた麺を、上下に大きく伸ばしていく工程です。長く伸びた麺が簾(すだれ)のように垂れ下がる様子は圧巻!
まるで白い滝のようです。一本一本がそうめんなのか、と思わず確認してしまいそうになります。





最後に「すてばし」という工程。これは、麺同士がくっつかないようにする大切な作業です。乾きすぎると折れてしまうし、逆にベタベタだとくっついてしまう。
気温や湿度を見極めながら、麺の状態を最適に保つのは、経験と勘が必要な、非常に繊細で大変な作業。

そうめん作りは、手間と技術の結晶ということが分かりました。

 

■いよいよ実食!太麺と細麺を食べ比べ





様々な工程を経て完成した半田そうめん。いよいよ待ちに待った試食の時間です。
今回は、「オカベの麺」の乾麺タイプを茹でていただきました。

【湯がき方のコツ】
①沸騰したお湯に麺を入れて6分。
②差し水はせず、時々お箸で優しく混ぜる。
③麺を冷水でよく冷やす。




茹で上がった半田そうめんは、つやつやと輝いていてとても綺麗!まずは、代表的な太麺からいただきます。




口に含むと…つるっとして、そしてすごい弾力! モチモチとした独特のコシがあります。食べ応えがあって、噛むほどに小麦の風味を感じます。
 

■奥深い「半田そうめん」の楽しみ方




オカベの麺では、今回いただいた手延べそうめん以外にも、様々なタイプの麺を作っています。

そして、半田そうめんの魅力は、そのままで美味しいだけでなく、和・洋・中、どんな料理にも合うアレンジの幅広さにもあります。



パスタのようにアレンジしたり、温かいスープに入れても美味しくいただけるそうです。その独特のコシと太さが、ソースや具材とよく絡み、新しい麺料理の世界を開いてくれるはずです。

徳島県つるぎ町で出会った「半田そうめん」は、私たちのそうめんに対する概念を覆す、素晴らしい発見でした。300年の歴史の中で育まれた伝統製法と、職人さんの情熱が詰まった麺は、そのままでももちろん、様々なアレンジで楽しめる奥深さを持っています。

吉野川の清流や剣山の豊かな自然を満喫しながら、この特別な半田そうめんを味わう旅はいかがでしょうか。
 

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