6月25日(水) よる8:00~8:55

追悼 河島淳子さん~自閉症児の療育に捧げた人生~

障害のある子の発達を促し、日常生活を送れるよう導くサポートを「療育」という。
独自の理念で療育を実践し、注目を集めていた療育者が2月に亡くなった。
「障害のある子も脳の傷ついていない部分を最大限に働かせることで社会で生きてゆく為に必要な知識を身に着けることが出来る。そのためには親の覚悟が必要。たとえ子に泣いて暴れて抵抗されようとも、叱るのではなく譲らないで療育を行うこと」
笠岡市出身の河島淳子さんである。
岡山朝日高校から岡山大学医学部へと進み、小児科医になった。
結婚し三人目の子を授かったとき、休職して子育てに専念することにした。
その三人目の子、高浩さんが自閉症であることが分かった。
河島さんは医師の知見を生かし、試行錯誤を繰り返しながら独自の療育を施した。
その結果、高浩さんは高い精度が求められる洋裁の技術を身に着けるまでに成長した。
この経験を、同じ悩みを抱える親の為に役立てたいとの思いから、河島さんは愛媛県新居浜市に「トモニ療育センター」を開設。
30年間で約800人の療育を指導した。
河島さんの説く「譲らない」姿勢は、厳格さゆえに「行き過ぎでは?」との批判を浴びることもあったが信念は揺らぐことなく、画家やパラアスリートも輩出した。
亡くなる前日まで療育の指導にあたっていたという河島さん。
自閉症児の療育に人生を捧げた故人を偲ぶ。