7月17日(水)午後8:00~8:57

ギャラクシー大賞受賞
差別・偏見との闘いを伝えて~ハンセン病 取材40年~

『島流しの生活を一刻も早く終わらせてほしい』…岡山県の瀬戸内海に浮かぶ長島にある2つのハンセン病療養所に、国の政策で隔離された人たちの悲痛な叫びだ。この言葉に突き動かされ、取材を始めて40年がたった。
「島流し」とはどういうことか。長島と本土との間の海峡はわずか30mほどでありながら、1988年まで橋が架かっていなかったのだ。1930年に国立療養所第1号となる長島愛生園が開園してから、「瀬溝」と呼ばれるこの海峡が一般社会とハンセン病患者とを隔絶する壁となってきた。強制隔離政策の象徴といえる「隔ての島」。日本では医学的根拠のないままに患者を終生隔離する政策が明治時代からとられ続けた。戦後間もなく特効薬「プロミン」が登場しても国は政策を放置し続け、病への差別と偏見を助長した。
その差別・偏見と闘うために立ち上がったのは、病から回復した入所者自身だった。
国を相手取り訴えてきた闘いの歴史は、この7月に判決が確定した家族訴訟の勝訴にもつながった。
今もハンセン病問題の解決は道半ばだ。回復者の高齢化が加速度的に進む中、平成から次の時代となっても同じ過ちが二度と繰り返されないよう、何人もの記者がバトンを受け継ぎながら伝え続けている。
TVにおける活動部門の最高峰「ギャラクシー賞」で今年大賞を受賞した、ハンセン病40年間の取材の歴史を振り返る。