1月23日(水) よる7:00~7:55

瀬戸内発!造船王国復活をかけて

古くから海上交通の要衝だった瀬戸内は必然的に海事産業の集積地になっており、「造船城下町」と呼ばれる産業都市も多い。同業界の動静は瀬戸内の経済全般に大きな影響を及ぼす。その造船業界は今、100年に一度と言われる大不況『2014年問題』に直面している。造船業界は、わずか5年前まで、中国の資源・消費財の「爆食」による新造船の需要の高まりで空前の活況に沸いていた。しかし、世界的に新造船受注の過当競争を招き、船が余り始め、そこへリーマンショックが追い打ちをかけた。船が余っている上に、世界経済の停滞で荷動きも鈍化して船の需要そのものが激減し、このまま受注ペースが回復しなければ2014年には国内で造る船が無くなってしまうというのだ。
世界シェアで日本を上回る中国・韓国も事情は同じで、造船業界は世界規模で持久戦の様相を呈している。日本の造船業界はこれからどこに活路を見出そうとしているのか?主要な造船企業と関連団体を取材し、業界の未来を占う。
愛媛県に本社がある今治造船は、新造船の竣工量と売上で国内首位の実績を誇る。瀬戸内海沿岸に8か所の造船工場を持ち、徹底的に作業効率を追及した分業制で世界有数の生産能力を確立した。その新造船の設計セクションが置かれる、今治造船の「頭脳」の役割を果たすのが、丸亀事業本部である。『2014年問題』の先を見据え、丸亀事業本部で設計された新型船が「エアロシタデル(空気抵抗性能の城塞)」と名付けられた「エコシップ」。国際海事機関「IMO」により、世界的に船舶の排ガス規制が強化されることが決まり、今後造られる新造船には燃費の向上。つまり「エコシップ」化が義務付けられる。今、日本の造船各社は中国・韓国をリードする日本の各種メーカーのエコ技術を駆使した新造船を開発して、国際的なシェア争いを勝ち抜こうとしている。


写真=今治造船 丸亀事業本部の若者たち