「世界中が変な気候」

 こちらに帰ると、英国の各都市での、若者暴動のニュースに溢れている。20%近い失業率で、若者に限ると45%の失業率だというのだから、働かなくても失業手当があって、遊んで良いように見えても、みんな不安なのだ。経済効率優先で人員を削減するより、仕事を分配した方が、社会が安定するのだろうにと思う。
 フランス南部では、農民がスペインから安く野菜や、農産物が輸入されて来るのを、国境で待ち構えてトラックを止め、空にして捨ててしまう、荒っポイ暴動ニュースもよく聞かれる。同じヨーロッパ内の農民戦争である。
 金融界の不安も多く、要は投資家という博打打ち親分に経済が握られているわけで、時代劇の悪代官や、黒澤の「用心棒」、いろいろのレトロ股旅映画の時代のような世の中になっていて、コツコツと物を作る人たちは絞られるばかりになっている。あまりにソックリなのが、結局今の我々の社会なのではないかと思えることがある。
 人間の欲望もその中に含まれるが知れないが、生き甲斐がなくては、人間は生きていられない。最近よく、こちらのマスコミで論じられているのは、ユータナジー(euthanasie)、日本語に訳すと、安楽死の立法問題が出る。処方した医師が、違法で裁判にかけられたりするのだが、考えさせられる。カトリック教で禁じられている自殺死より、救われるかも知れない。

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