岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2011年8月12日

「世界中が変な気候」

 緯度50のパリが涼しくて寒いくらい。ずっと北の北緯60のサンクト・ペテルブルクに七月下旬に旅行したが、32℃を越す暑さでこんなことは珍しい。普通24℃くらいなのですがと、石畳の街が茹だっていた。先週は、北海道にも行ったが、32℃を越す日々で、やはり異常な暑さ、普通なら20℃台なのですがと言われ、猛暑が日本の全体にも襲っている。逆にパリでは同じ時期に20℃を朝晩は切り、寒いくらいです、帰りは用心してくださいと電話での話。行くところ、行くところ異常気候ばかりが話題になる。
 日本からパリに帰ると、「大変だったのでしょう」と皆に挨拶のように言われる。日本列島全体が沈没直前のように思っているのである。「ツナミは、確かに被災された方はお気の毒ですが、刀の刃で言えば、剣先の一部が刃こぼれしたようなもので、日本の9割は何らの異常もなく、普通に暮らしていますよ。確かにフクシマは大変で、心配ですが、40年も使って初めての経験で、キット押さえる手段や、未来への選択を見つけるでしょう。原子力発電は世界中にあるのですから、どのように征服し、使いこなして行くか、人類の闘いなのでしょうね。被災地の写真ばかりが、ジャーナリストやカメラマンが押しかけて報道、日本全体がそのように錯覚されていますが、ほとんどの日本は、平常通りですよ。」冷たいようだが、そう答えることにしている。

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