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イチローさん、イチ流を極めてなお「趣味は野球」 高松商業の球児たちに本気で伝えた“野球を突き詰める”

イチローさんが高校生と向き合うなかで感じている“面白さ”とは。
イチローさん「だって、(高校生は)あんなに喜んでくれるんですよ。で、キラキラしてさぁ。それが、やがてギラギラするようになったときに、どうなるかは楽しみなんだけどね」 2年連続で高校生を指導しているイチローさん(48)が昨年12月、この年3番目に訪れたのは香川県の高松商業。春夏合わせて甲子園出場48回(春27回・優勝2回、夏21回・優勝2回)を誇る伝統校です。 ■長尾監督の“爆弾発言”高松商業は昨年、夏の甲子園に出場。3回戦の相手は、イチローさんが前年に教えを説いた和歌山県の智弁和歌山高校でした。高松商業は9回に2点を返し追いすがりますが、3−5で敗戦。長尾健司監督(51)は、ピンチに動じない相手に驚かされました。試合後、長尾監督が発した言葉とは・・・。 長尾監督:イチローさんが来たか、来なかったか、この差がデカイですね、って言ったんです。来てくれたらウチもやる気満々で、ひょっとしたら良い勝負になったかもということを言っただけなんです。 その言葉が、イチローさんを動かしました。そしてついに、長尾監督とイチローさんが対面。 イチローさん:どうも初めましてイチローです。 長尾監督:迷惑をかけてすみません。 イチローさん:いやいやいやいや、あの爆弾発言で全てが始まりました(笑)。 長尾監督:すみません、もう・・・。 Q.長尾監督からの言葉は報道で見た?イチローさん「人から聞きました。きっと面白い人なんだろうなって思いました。なかなか言わないですよ。ただ悪い気はしなかったですね。長尾監督は昔のタイプなんですけど、(指導した中で)1番今っぽかったっていうのが面白かったですね。あれだけ伝統がある学校で、あんなプロみたいな扱いしてるっていうかね、選手に委ねているっていうか、驚きました。僕より3つ年上なのかな。バリバリドロドロの時代を見てるでしょうからね、その雰囲気あるんだけどめちゃくちゃさらっとしてたのが面白かったです」 ■「俺からのクリスマスプレゼントや。100億円くらいの価値がある」イチローさんから指導を受ける前、長尾監督がナインを集めました。 長尾監督:これは俺からの夏の大会のクリスマスプレゼントや。全部もらって帰れ。もらって帰らな損するで。100億円ぐらいの価値がある。 監督の話を笑顔で聞く選手たち。そして、イチローさんが、早速グラウンドへ。すかさずアドバイスを求めイチローさんの元に向かったのは1年生の江西一郎選手です。 江西選手:次、僕の打席が来たときに、悪いところを指摘してもらっていいですか。 イチローさん:1回見ますから。見たいです。 Q.高松商業の印象は?イチローさん「最初にグラウンドに立ったときの(選手たちの)雰囲気が、『おー』という感じよりも、早くやりたい、といった感じの空気だったんですよね。だから入って行きやすかったのもあります。最初から、なんか壁がない。下級生と上級生の壁がないように、僕ともそんなになかったような印象を受けました」 ■高松商業へのアプローチは“野球を突き詰める”イチローさんが高校生に向き合い、伝えたいこと。高松商業へのアプローチは”野球を突き詰める”。 指導開始早々、イチローさんの前にはあっという間に質問待ちの行列が。 左打者の野嶋大輔選手(2年):バットの出し方って、イチローさんはどんなイメージをされていますか? イチローさん:(バットを持ち、両手で自身の体の正面を示しながら)僕はこの軌道、体の前で入って、こう巻きついていくイメージ。 山田一成選手(2年):質問していいですか?2年の山田です。 イチローさん:(緊張をほぐすように山田選手の背中を軽く叩き)はい、いいよ。 山田選手:インコースを打つときに詰まってしまう、距離の取り方というかバットの出し方を教えてください。 イチローさん:距離の取り方というか、詰まるの嫌だよね?ただ詰まるのを、肘を引いて(バットの)芯に近づけるのは絶対にやめてください。詰まっている状態は別に構わないので。そこから、同じスイングで捉えられる感触得るから。それを続けてたら。 林息吹選手(2年):質問いいですか?打てないときの練習法ってありますか? イチローさん:打てないときの練習方?・・・(茶目っ気たっぷりに)バット振っとけ(大爆笑)。 ■甲子園で勝ち切るために創部112年の歴史を誇る高松商業。目指しているのは、甲子園に出ることだけでなく、甲子園で勝ち切ること。全国制覇を叶えるために、イチローさんに食らいつく選手たち。その本気にイチローさんも全力で応えます。それは、キャッチボールにおいても。 イチローさん:なるべくこういう(強くて速い)球を。野手もこう(強くて速い)球が来た方が次の動作に移行しやすい。数は投げなくていい。とにかく1日に10球でも5球でもその意識を必ず持って。 さらに送球に関しては・・・。 イチローさん:肩甲骨で引っ張って回す、イメージ。難しいよね。難しいと思うけど、ここ(腕だけ)使ってると、すぐ開いて(投げる姿勢を)キープできずに、シュートする。 ■「こうやって、みんなのこと見てるからね」フリーバッティングでは自ら打席に立ち、打球を次々にスタンドに放り込むイチローさん。その姿に、選手たちは驚きと感嘆の声を上げます。 イチローさん:(今の打球は)ポール側に切れていったけどあれが真っすぐ行くと僕は形がオーケー。あれがフックしている間は、僕の形はまだ出来ていない。 自身の感覚を惜しげもなく伝えるイチローさんと、その言葉を聞き逃すまいと必死にメモを取る選手たち。 イチローさん:もうバテてきている。でも、ここから形を崩さずに振る練習が大事なんです。疲れたからといって楽な形にならないように。すごく大事なこと。 「どんな条件でも一発入れないと練習を終われない」というのがイチローさんのマイルール。 最後に、“自分の形”で、スタンドインさせたイチローさんは「終了!!」とガッツポーズ。選手たちからも拍手が送られ、暖かい雰囲気で練習を終えました。 イチローさん:フリーバッティングで使ってたバット置いていきます、これ。僕に見られている感じするでしょ。こうやって見てるからね、みんなのこと。(長尾)監督のことも見てますよ。 ■「僕、純粋だから。趣味は野球」興奮冷めやらぬ練習後のバスの車中。イチローさんにアドバイスを求めていた1年生の江西選手は・・・。 江西選手:イチローさんに少しでも近づけるような技術力とか、生活をもっとこれから見直していければいいなと思いました。 長尾監督:恩返しはプレーで返す、それだけです。優勝、それは香川県ではなくて甲子園で優勝。それだけ目指して頑張りましょう!! (選手・マネージャー全員、大きく力強い拍手) 高校生たちに本気で向き合ったイチローさんは、3校の指導を終え、こう語りました。 「あんなに純粋に喜んでくれたら、そりゃあ応えたくなるよね。僕、純粋だから。その、野球に対してね、純粋なんで。でもまぁ一緒にやることが大事。何よりもそれはよくわかったので。・・・まあどうなったって『趣味・野球』になるよね。『なにやっているですか』って聞かれたときに『あれ、俺何やってるかな・・・あっ野球やってるわ』って、最近よく思うんですよ。野球にハマってるっていう、変な感じだけどね」(13日18:55)

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