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自民・石破派解消…それでも「石破氏は終わった」と言い切れないワケ

12月2日、石破氏は「水月会(石破派)を“派閥”から“グループに”改める」と明らかにした。自民党・石破派が結成から約6年で幕を下ろした瞬間だった。
派閥解消の理由について石破氏は、“総裁選や党内での交渉ごとにエネルギーを費やしてきたが、何を実現するために政治を行うのか、もう一度考えたい”と話した。つまり、権力闘争に明け暮れるのでなく、いま政治に何が求められているのかを再考したいというのだ。 党内の権力闘争から一歩身を引く形となった石破氏だが、“首相候補”としての石破氏はこれで終わったのだろうか― 石破派の歴史、それはある意味「石破氏と安倍元首相の戦い」の歴史でもあるのだが、取材をすると、派閥解消には今後の権力闘争を見据えた戦略変更の一面もあることが見えてくる。 石破派とは一体何だったのか、そして石破氏はこれからどこに向かおうとしているのだろうか― ■石破派の結成目的は“石破首相”誕生 石破派は2015年9月、「石破首相」の誕生を目指す20人の国会議員で結成された。当時、“安倍一強”とも言われていたが、発足時の会見で石破氏は「私のような者でも、もし仮に政権を担うことが望ましいということであれば、それを目指したい」と総理大臣への挑戦に意欲を示した。 ■石破氏と安倍氏因縁の対決 2018年、森友学園問題や加計学園問題などをめぐり政治不信が強まる中迎えた総裁選。石破氏は「正直、公正」をキャッチフレーズに安倍首相(当時)との1対1の戦いに挑んだ。 安倍氏にとって、石破氏は第一次安倍内閣の時に「安倍おろし」を行った因縁の相手だ。“圧倒的勝利”を目指した安倍氏。石破氏も党員票の45%を獲得したが、安倍氏が議員票で大きく上回り、結局石破氏はダブルスコアで負ける結果となった。 そして2020年、安倍氏の退陣表明を受け行われた総裁選でも、石破氏は安倍路線を継承する菅氏に敗れると、岸田氏にも及ばず最下位に終わった。 石破派内からは「今回負けたら政治生命が終わる」と出馬を見送るよう説得する声も上がっていただけに、石破派内からも「石破離れ」が進む結果となった。 ■石破派解消「これ以上、迷惑かけられない」 前述の通り、もともと石破派は「石破首相」の誕生を目的に結成された派閥だ。しかし派閥発足後に2度挑戦した総裁選で敗れ、2021年の総裁選では出馬もかなわず、支援した候補も敗れた。石破派内からは「安倍総理の対抗軸として石破派があった。安倍総理が退陣した今、石破派の存在感はなくなった」との声も上がる。 党内には有力者である「安倍氏・麻生氏と対立関係にある石破氏を支援することは出来ない」と話す議員も多く、党内きっての政策通でありながら議員間交流に積極性が見られない石破氏の周辺からは次第に議員が離れていった。石破派所属の議員も発足時の20人から今では12人に減り、さらに退会の意向を示す議員もいる。 石破氏の求心力が低下する中、ついに石破氏は12月1日、派閥の解消を決意した。 ■石破派解消 戦略転換の一面も 石破氏は派閥解消を表明するにあたり「水月会(=石破派)という集団がなければ自民党総裁選に2回出ることはあり得なかった」とメンバーに感謝の意を述べた。 今も石破派内には若手を中心に、「石破氏と行動を共にしたい」という議員も多い。しかし石破氏が派閥解消を選んだのにはジリ貧となっている現状への危機感がある。 党内には「石破氏=安倍氏と対立」とのイメージが染みついている。自民党議員にしてみれば、“党内の最大派閥の領袖”であり“歴代最長の首相”を務めた安倍氏を敵に回したくないというのが本音だろう。そうなると次の総裁選に出ようにも石破氏の支持は広がらない。ならば“派閥を解消することで他派閥からの警戒感を緩め、その上で連携できる派閥を探していく”これが得策だと石破氏は考えたようだ。 党内では麻生派・岸田派・谷垣グループが合流する「大宏池会構想」が浮上しているほか、党内最大派閥の安倍派の存在感が大きく、それぞれ100人規模の大きな塊となっている。ここに挑むには数が必要だ。 石破氏は周辺に「派閥を解消することで、他の派閥やグループと連携しやすくなる」と話す。透けてみえるのは、二階派や菅グループなどと連携し、次の権力闘争に臨みたいという思惑だ。つまり、派閥解消は“新たな権力闘争に向けた戦略変更”でもあるのだ。 ただ、その思惑通り事が進むかは不透明だ。むしろ、そんなに簡単なことではないだろう。それでも“政治の世界は一寸先は闇”何が起こるか分からない。 石破氏は常々、「総理大臣になることは“目的ではなく手段だ”」と話し、自身が目指す「納得と共感」の政治が行われるよう新たなリーダーが自民党を変えるのであれば、石破氏自身が総理大臣になることにはこだわらない姿勢も見せている。 ただ、石破氏はこうも話す。「衆議院議員である以上、いつ自分がその役目を果たさなければいけない時が来たとしても、それが果たせるようにしておくのは当然の心得だ」と。 今も各種世論調査では次期首相候補として上位に立つ石破氏。派閥を解消し、グループとして勉強会を行うなど「政局」ではなく「政策」中心の活動を始めるとしているが、それは次の戦いに備えた充電期間に過ぎないのだろう。 TBSテレビ報道局 政治部 石破グループ担当 中島哲平(04日09:00)

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