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家族全員が麻薬中毒の患者も “命ある限り戦う覚悟”混迷のアフガンに残る女性医師【報道特集】

今年8月にタリバンが再び政権を掌握したアフガニスタン。首都カブールで働く女性医師を取材すると、父親の影響で家族全員が麻薬依存症となった患者など、人々の生活を蝕む麻薬の実態が見えてきた。
アフガニスタンの首都カブールで医師として働く女性。 記者「あなたの夢はなんですか?」 医師「以前のように女性の権利が守られることです。女性なしの社会は発展しません。男女平等は女性の当然の権利です。望みは薄いけれど、この国に残って様子を見続けます」 女性医師にはアフガニスタンにとどまる大きな理由がある。抱えている患者を放っておけないのだ。 タリバンからは外出しないよう通達があったが、この日は監視の目がないことを確認しながら、ある家庭を訪ねた。 医師「ここに来たことは内密にしてくださいね」 記者「家族はこれで全員?」 医師「物乞いをする為に出かけている人もいます」 彼らは家族全員が麻薬中毒者だ。父親と長男は出かけているという。次男は落ち着かない様子で、辺りを見回すような動きをする。 次男が奥から持ってきたものは・・・ 次男「クスリ、クスリです。この茶色いのがそうです。このタバコも使います」 アルミホイルにのせた麻薬を火で炙り煙を吸う。 次男「直接吸わなくても中毒になるんです。父は毎日のように炙って吸っていました。室内はいつも煙っていて、家族も知らない間に依存症になっていました。まずは母が。次に兄。私。最後に妹がなりました」 国連によると、世界に流通するアヘンやヘロインの8割はアフガニスタン産だという。 麻薬産業だけでGDPの11%を生み出しているとの報告もあり、タリバンの資金源の一つとも言われている。 ただ、国内では麻薬が安く手に入ることで、長びく戦乱や貧しさに絶望した人が手を染めるケースが多く、根深い問題となっている。 アフガニスタンで麻薬が蔓延する背景には、父親が家庭で強い権力を持っている事も関係していると女性医師は話す。 医師「この国では家族を支配するために、幼い子どもにも麻薬を与える父親がいるんです。この家でも父親が王様で、子供が頭痛を訴えたときに麻薬を医薬品代わりに使いました」 長時間、麻薬を使わずにいると激痛や倦怠感に襲われる。医師は30回以上この家を訪れ、やめるよう促しているが・・・ 医師「ヘロインを市場で見つけたら使用するの?」 母「うん、使うわね」 医師「見つけたら使うの? どうして薬物をやめられないの?」 母「痛いから」 医師「母親のあなたがやめれば子どももやめられる。やめる努力をして」 母「私たちが使わなかったら、毎日夫に怒られるわ」 医師「夫の機嫌を損ねないために、使うしかないの?」 母「そう、仕方ないの。そうじゃなかったらこの家から出るしかないけど、私に家賃を払う経済力はないの」 次男「父が吸えば私も吸いたくなる。痛みと不眠症に耐えられません」 タリバンは今後さらに女性の活動を制限するかもしれない。医師の女性はそれでも今の活動を続ける覚悟でいる。 医師「こうした人たちを助ける仕事は辞めたくありません。命ある限り戦います。麻薬患者は私たちを必要としています。私たちがいなくなったら状況はより酷くなります。」 記者「タリバンに罰せられる恐怖はないですか?」 医師「怖くありません。申し上げたように命ある限り戦う覚悟です。脅迫もされますが、私が恐れるのは神だけです」 (報道特集10月9日放送内容から抜粋・編集)(13日11:22)

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