会場の模様

悲眼院の診療(同院蔵)

新見公立短期大学教授
山本 浩史

岡山県立大学特任教授
二宮 一枝

第4回シンポジウム実施報告

「貧困を直視しつづけた男たち」

公益財団法人山陽放送学術文化財団は2月21日(木)、岡山ゆかりの福祉分野の先駆者の足跡をたどり、その生涯と功績を議論紹介するシリーズ・シンポジウム「慈愛と福祉の先駆者たち」の第4回「貧困を直視しつづけた男たち」を開いた。会場の山陽新聞社さん太ホールは市民や福祉関係者らで満席となった。

出演者
新見公立短期大学教授 山本 浩史
演題:済世顧問の活動と社会事業
岡山県立大学特任教授 二宮 一枝
演題:地域ぐるみの防貧活動

明治時代中期以降日本では、国のデフレ政策(松方デフレ)や戦争、災害によって全国の農村地域を中心に疲弊が進み、餓死する人も少なくなかった。
岡山県内では、篤志家が生活費援助のための講を組織し地域の相互扶助・生活改善を進めたほか、僧侶と医師がチームを組み、寺の本堂を診察室にした治療施設をつくって無料で診療したり、地域ぐるみの保健衛生活動を推進するなど、各地で相互扶助・生活再建の救済活動が展開されていた。
こうした中で岡山県の笠井信一知事は1916(大正5)年、地方長官会議での大正天皇のご下問を機に実施した調査で、県民の一割もの人(10万3610人)が極貧に苦しんでいる事を知り、翌年、全国に先駆けて今日の民生委員のモデルとなった「済世顧問制度」を創設。貧困問題の対策と農村の再生を図った。

シンポジウムでは、済世顧問制度を研究している新見公立短期大学の山本浩史教授と保健福祉や公衆衛生を専門とする岡山県立大学の二宮一枝特任教授が講演・討論した。
山本教授は済世顧問制度の特質と顧問委嘱の人格要件、全国への波及とその効果などについて講演。「笠井知事は貧困は社会全体の問題だと捉え、貧しい人の自立に向けた支援を実施した」と、施策の先見性を評価した。また二宮特任教授は、寺院に開設された無料診療所をはじめ、保健衛生・公衆衛生活動の実態と対策など地域ぐるみの防貧活動について話し、「現赤磐市の医師山本徳一は徹底して母親に対する保健教育を実施し乳児死亡率を引き下げた」などと、各地の顧問たちが相互扶助・家屋と生活の環境改善に大きく寄与した功績を明らかにした。