「パリ開城」

フランス人はバカンスの習慣が身に付いている。年間5週間の有給休暇(土日を上手く入れると6週間)は慣れているから、今回の一斉に仕事を止めて店を閉めろと隔離指令にも、休む補償も国が見てくれるのだから従った。しかしやはり2カ月、この辺が限度である。家に禁足の暮らしであっても各人の生活はあるから、逆に休めない仕事もあり、病院などはフルの大活躍で、緊急事態で逆に仕事が要求され、特需で品物が動き儲かる仕事も生まれてくる。本屋の例も好例だろうか、恒例のパリ書籍大見本市も中止し、書店も閉ったが、インターネットの時代だからアマゾンに宅配で注文殺到、本離れ下降気味の業界がこれではアマゾン一人勝ちだと、本屋の経営者たちは穏やかでなくなった。禁足で家にいるのだから読書は好機のはずで、店舖を開く要求を通し、店側が防疫体制をキチンと整えれば本屋、タバコ屋だけは早々に開けることになった。そういう話を聞いてジッとしていられなくて頭を絞るのが、経営者というもので、ボケーッと休養して待っているようでは、業界でもう余り先行き期待できない。レストランは店頭持ち帰りの工夫を始めてでも開くとか、YouTubeで芸人の芸を流す小劇場、いま多くの商店が再び店をオープンとなり、各業界この防疫条件にどう対応させるか、5月11日からの再開に頭を絞っているのが今日である。新習慣が誕生し、大きく暮しの様相が変わりそうである。

2020年5月10日 赤木 曠児郎

page3/3