岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2019年11月11日

「異常気象下の日々」

日本は台風被害のニュースで占められるが、フランスでも大西洋岸の側の強風と、南仏一帯の集中豪雨で、濁流が町中を襲うニュースが連日である。温暖化異常気象の所為か、3ヵ月分くらいの雨量がドンと1時間ばかりの間に地域に集まって降るのだから、川が溢れる。毎日のようにフランス各地での雨と洪水のニュ-スである。パリにも紅葉、黄葉の街路樹になり美しく、もう山岳地方には大雪でスキー情報のニュ-スが始まる。

今月はベルリンの壁が崩されて30周年で話題だが、土曜日毎の「黄色いベスト」のデモも始まって満1年になる。ますます盛んで、沈静する気配はない。劇画の中のような黒い鎧兜に身を固めた警察や機動隊の姿は物々しく、薄い黄色いナイロンのチョッキ一枚をシンボルに身に着け、訴えの声を聞いて欲しいと集まる民衆に襲いかかる画像は、何かバランスを欠いているし、両者の憎しみを逆に掻き立てるようで、話し合う努力もされているのだが、もう革命期にはいっているわけで収まらない。先日の2週間のフランスお彼岸休暇中は、人員配備の問題からフランス国鉄が山猫スト、新幹線が間引き運転で人々の休暇帰郷の計画をぐちゃぐちゃにして困らせ、今度12月5日からは、退職年金制度の政府改革に反対して、全面ゼネラルストライキが労組から予告されている。「要求」「反対」をかかげて立ち上がるのが日常の、本当に不思議な国だと思う。

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