「近頃の話題」

少し明るい話題は、フランスでは全公共財産建物の公開日と言うのが、秋の週末に土日2日間決められて、毎年ある。大統領官邸見学などは超人気で、朝から長蛇の列になる。フランスの宇宙開発研究所の公開展示場が、盛り場シャトレの現代ビルの中に設けられていて、一般への知識普及のセンターになっているのを知った。最先端は国家機密だが、第二次大戦後の1947年から始まった、サハラ砂漠でのロケット宇宙衛星打ち上げ実験成功までの、歴史記録などは公開されている。公開日の招待状が送られて来たので見学に行ったが、日本なら「はやぶさ」誕生の記録というところだろう。敗戦国ドイツから当時の沢山の専門家が招かれ移住して、フランスにロケット産業をおこした記録が、生々しく目に焼き付いた。ナチスドイツがロケットを発明、最先端国だったのである。

先々週、日本文化関係では、お能や狂言は移動が比較的簡単で、運びやすいのだろうか、観世流の銕仙会所属する清水寛二さんの新作能ヨーロッパ公演を、パリ日本文化会館で見る。「長崎の聖母」とか「ヤコブの井戸」キリスト教のテーマが、お能になって紹介された。次週にはサンジェルマンデプレの文化ホールで、和泉流狂言から出た小笠原匡さんの「延年之会」、第一回目ヨーロッパ公演というのを見る。こちらはフランスに住み、狂言の日仏交流と普及に尽力の一家である。お芝居と落語の落ちを組み合わせたような、その原型の元祖が500年以上続く「狂言」だと、面白さを解説ご子息の弘晃君と親子共演で、会場を和やかに笑わせてくれる。

2019年10月11日 赤木 曠児郎

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