「パリの中の日本」

「KINOTAYO」(金の太陽日本映画祭)も第13回目になる。10数本の、若い日本の映画監督の新作が選ばれ、フランス人の観客の目でコンペティションが行われ、監督や俳優も来仏して紹介もあり、制作する人たちの励ましになっている。フランスのある地方自治体が日本の地方と経済友好提携を結んでいて、その友好行事の一環として、フランス側が出資援助を続けている。1月に開かれたオープニングには、ホラーコメディ「カメラを止めるな」上田慎一郎監督作品が選ばれたが、奇想天外でいろいろ新しい手があるものだなーと、面白くて皆を惹きつけてしまった。翌日会っても見た人はこの映画の話題ばかり、他の参加作品も見たくなる気分になり、大成功の映画ってあるものだと感心した。300万円の製作費でつくり、最初は2館で上映だったのに、噂を呼び220館で上映され、21億円の収益でまだまだ伸びていると伝えられている映画で、ますますのみなの興味である。想田和弘監督の観察映画と称する「港町」、岡山県牛窓のある老婆の生活を中心に追った映画も、モノクロでただ地元の生活の様々を追っているだけなのだが、2時間退屈も眠りもせず、惹きつけられてしまった。フランス人にも好評である、それに何より郷里岡山の姿である。昨年も「(牛窓の)牡蠣工場」という映画で、フランス人人気投票第一位だった、ニューヨーク在住の監督で、夫人の郷里が牛窓とか。

こんな具合に日本関係の話題が、もっかパリに溢れ、黄色いベスト騒動も、土曜日に起きる行事と、日常生活は普通に続いている。

一つ先日気になった話題は、フランスの幼児出生率も、2006年から2010年位がピークで、カップル対2を超えていたが、もう現在は1.87まで下がり、まだ減少傾向。一般にフランスは人口増に向かっていると伝えられていたが、どうもそうでもないらしい、政府のいろいろな助成金や子育ての優遇(子供3人いればかなり悠々)、人口増のための努力もしたが、矢張り育てる負担は大変ということだろうか。そんな結果が紙面に大きく出されていた。

2019年2月10日 赤木 曠児郎

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