「初夏の街角で絵を描いていて」

 パリ日本文化会館からご案内を頂き、「ロス・レイヤー」と言う一人踊りのモダンダンスの夕べに招かれた。ユム・ケイコ・タカヤマという、大阪生まれの踊りの女性が、二人のフランス人イラストレーターとコンビで、光の白黒図案模様が舞台平面にキラキラ描かれる中を一人で踊りまくる、中々の迫力の一時間であった。興味深かったのは、公演された二夜ほぼ満席で、300名近い座席だが、何時もと違って殆どがこちらの人であったことだった。日本人同邦の顔は10人も無い。フランスの人々はダンス、ブトーが本当に好きで、ファンがいるのだと実はその発見の方が驚きだったのである。土方巽、麿赤児、この町ではブトーやダンスが、観客があって公演存在できるのである。ビジネスに追われる邦人駐在員は、招かれても意味の分からないダンスじゃ御免だ、時間が勿体ない、仕事、仕事ですますようである。その位ビジネスに集中しないと、生きて行けないのも現実だが。

2017年4月11日 赤木 曠児郎

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