「自分の誕生日」

 年末には、近くのユネスコ本部の大ホールで、ユネスコ設立70周年行事で、「音楽メロディが繋ぐ世界の文明協会」10周年記念コンサートがあると言うので出かける。東洋、西洋、色々な国の音楽家が楽器持って集まり、有名なメロディを演奏して聞かせてくれるのだから、入場無料の招待でここらしい企画、結構楽しかった。中心になるのは東欧のプラハ交響楽団、今時パリのコンサートでは珍しい昔風本格燕尾服にエナメル靴、バックにはNHKの撮った世界文化遺産の光景が次々流れる。半分くらいの空席だったのが、惜しかった。
 パリの日本文化会館で2夜、お能の「オンディーヌ」の公演があった。フランスの劇作家ジャン・ジロドーの1939年の戯曲で、日本では劇団四季が上演し、加賀まりこがオンディーヌ役者の評判なんてよく聞かされていた。それを日本人がお能に演出というので、出掛けたのである。同じテーマの現代日本映画作品とお能の組み合わせの二本立て、工夫が色々いるなとご苦労さまである。興味あったのは、満員で9割までがフランス人の観客であったことである。オンディーヌは日本でも有名な作品なのだけれど、娯楽物だと日本人観客が多い通常なのに、今回は殆ど見かけない。ジロドー原作でもあるのだが、よくもこれだけ集まったな、フランス人は演劇好きなのだと、いつもと違う顔ぶれに、妙に感心して帰ってきた。

2016年1月10日 赤木 曠児郎

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