「2015間近か」

 足場の関係で、パリ日本文化会館によく足を運ぶ。金の太陽日本映画祭が今年も12月20日まで開かれているが、もう設立第9回、9年目、19本の新作日本映画が紹介され、内9本がコンクール参加、審査されトロフィーが争はれる。この映画祭も、段々やっと知られてきて、二カ所で開かれた初日オープニングセレモニーも、いまではどちらも満席である。映画と言う方法は、矢張り現在の日本人の生活や考え方を、外国人にも一番伝えてくれる、情報満載の方法なのだと痛感する。あまり前衛がかった、高邁なものよりも、ストーリーをきっちり味わえるものの方が有り難いし、心に残る。
 前田司郎・五反田団の「迷子になるわ」という前衛現代劇をみたが、2010年フェスティバル・トウキョウで評判だった作品とのこと、やはり思考の勝った不条理劇は、難しい。
 人間国宝の新内節の演奏会もあった。文楽人形、踊りも加えて外国人にも興味を持てるように、良く工夫されていて感心した。しかし所詮、何を唸っているのか分からないので、フランス語字幕にどうしても目が行き、人の集まりは半分空席。確かに日本の伝統音楽芸能なのだけれど。
 満員で盛り上がったのは、「りんけんバンド」のコンサート。照屋林賢と上原知子のコンビが、沖縄ポップで盛り上げた。太鼓をたたき、誰にでも乗って行けるリズムで、超満席。親日フランス人が集まり、手を振り足を動かし、リズムを取って乗っていた。ここは日本文化会館なのに、日本演歌コンサートは紹介されることがまことに無い、沖縄は民謡、踊り、毎年のように何かがあるのにである。何時も不思議、残念なのである。

2014年12月10日 赤木 曠児郎

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