「帰ってきたパリ・2012秋」

 帰って翌日、パリのJETRO(日本貿易振興機構)から、日本とEUの、「成長のための日欧パートナーシップの将来像」というビジネスセミナーが、パリのシアンスポ(パリ政治学院)の講堂であるというので、駆けつける。ここは有名な政治家や高級官僚養成の名門大学なのである。日本からもジェトロの理事や、内閣官房の参事官、大学教授がはるばると出席しての集まりだから期待する。きっと中国の反日問題や、夏休みが終わると、フランスではもう早速始まっている各労組のデモ。当日も自動車産業の大量解雇、縮小で、職場確保のデモのニュースが朝から流れる。翌日は新聞の配送組合の職場改善の闘争で、新聞の発行無く、メールで読んで欲しいという紙切れ一枚が、配達されてくる。雇用の縮小が皆の心配なのである。セミナーでもこんな問題が、生々しく登場するのだろうと駆けつけたのだが、準備されたパネリストたちの、日本政府発表に近い説明の羅列。トヨタヨーロッパの代表トップ氏も、当日のパネリストだったが「わが工場では、労組問題は起きていません」、サラリとしたもので、むしろ会社や、車の宣伝に近い。参加者日仏100名ばかりだったが、質問も無いに近い。尖閣のセも出ない。
 

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