「今年も暮れる」

 日本文化会館地下ホールで、「大駱駝艦」麿赤児のブトー(舞踏)を見た。ブトーは大人気で、浮世絵、マンガと並ぶ、日本発信が現在世界の売り物に通用する、三大日本文化である。「大駱駝艦」は二年毎にヨーロッパ巡業公演を続けているそうであるが、大体満席で、チケット入手が難しい。団員公演の「オママゴト」を見たが、演出が麿赤児氏。ご本人タバコが大好きらしく、建物の中では一切禁煙のフランスは大困り。踊りが終わりホールから出た廊下で、たまらずタバコの火を付け出し、ハッと周りの人目に気づいて消して、気まずそう。同じエレベーターで道路に出て、ホッと一服。そこにノコノコ話しかけて、来週のご本人の踊るチケットを、秘書さんからせしめてくるなど、おばあさん族のわが家内など物凄いものである。客席を見渡して、客層は中高年で、昔からの本当のファン層が続いている感じである。若者たちのブトー公演も多いが、こちらファンの客層とは落ち着いた、少し違う気がする。先日は若い女性6人組のダンス公演、ギャーギャー喧しいだけで、無意味で下らないから、もうブトーは行かない、見なくていいなどと言っていた家内なのだが、「大駱駝艦」に急に嵌っているらしい。週刊朝日で、自伝の書評とか、嵐山光三郎氏の文章、最近二週間続けて読んだせいである。急に本物を見たくなったのであるが、これがパリの有難いところ、日本人同士で、簡単にご本人に頼める。

2011年12月12日 赤木 曠児郎

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