「雪の降ったパリと田舎のこと」

 ただ現在不似合なのは、各所にモクモクと白い水蒸気の柱が上がっているのが連なることで、原子力発電銀座と呼ばれるローヌ河沿いを実感。足元の工業団地には、ウラニューム再処理工場の大きな構内も拡がる。パリに帰っての新聞に、日本の三菱グループも、この工場会社の増資に参加希望、仏政府に許可されないとか、生々しいニュースを見る。さて芸術祭の方だが、日本からも自主参加で70点の作品が到着し、20名の人がこんな不便な田舎まで、自費旅行で参加して来ていて、これも驚き。マルセイユから地域担当の日本総領事さんも出席されて、オープニングの挨拶。地元フランス人の常連作家やアマチュアたちの出品は、日本が招待テーマ国なので、日本をモチーフの作品や、焼き物、人形、いろいろ制作したのもあってご愛嬌。漫画風も多く、その流行と影響振りを感じさせられる。オープニングパーティは、ふんだんに振る舞われる土地産のワイン。折からの新酒、これが目当てならしく、とにかく沢山の人が集まって会場は動けない人混み。3日間で3,000人を超す人の集まる、市の年中行事なのであった。

2010年12月12日 赤木 曠児郎

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