シャベル通り
シャベル通り
 

「もうすぐクリスマスだよ!!」

 いまパリには、日本関係の催しの広告が溢れている。日仏修好150周年とかの外務省の呼びかけで、あちらでも、こちらでも、秋に大型の催しが殺到したからである。圧巻はパリ市立プチパレ美術館の、京都市が開いた、金閣寺、銀閣寺の秘宝「禅」美術展で、日本でも滅多に見られないような一級品が展覧されている。国立ギメ東洋美術館でも、金毘羅宮のお宝の美術品を運んだ展覧会が開かれているが、平常なら大変な国宝級の美術品であるけれども、京都に比べられては、都と地方、やはり都は凄いと、比較をしてしまう。他の場所にも鎌倉の鶴岡八幡宮と、越前永平寺の、現代作ではあるが襖絵が展示され、これも見事なものである。まだまだ他にもデザイン民芸展とかもあるが、それが10月の同じ週に、パリのあちこちで、一斉に始まったのである。日本人であれば、素晴らしいで、それぞれに感動するが、相手はフランス人であり、国際社会である。日本美術といえば浮世絵で、ほとんど知識がない人たちと思ってよい、「勿体無い浪費」の一言につきる。政府の呼びかけで、助成金などの申請し易い下地もあるのだろうが、他人がやるから、私もじっとしておれない。わーっと一気に押しかける、日本人気質丸出しである。
 役所の指導はごめんこうむりたいが、一つずつ効果的に、プログラムを組んで根気よく永続的に日本や、日本美術の価値を世界に広める視点はないのだろうか。国宝級のものを運んで展示するのである、メセナ協会など、スポンサーは欠かせないのだし、協調と話し合いの機関は無いのだろうかと思ってしまう。大量に一斉も、インパクト大きい、という見方もなりたつが、普通には生活に関係の無い外国のものであれば、週に一つも見れば、見たよで、すんでしまう。どちらが効果的なのか、巨大な実験である。

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