マルリーの馬
マルリーの馬
 

「マロニエの季節」

 北京のオリンピックも終わって、いまはパラリンピックが始まったが、開幕入場式の実況放送をフランスのテレビで見ていて驚いてしまった。どんな反応だろうと、日本のマスコミのその後の報道を見ていたのだけれど「ぼんやりとした福田首相」程度の報道で、本人が退陣表明してしまった今では、そうだったのかなと、納得するだけである。疲れてしまって、心ここになかったのだろう。
  しかし全世界がこの目で、はっきり見たのである。ブッシュ大統領だって、自国のチームの入場行進の折には、暑くてワイシャツ姿だったのに、上着をきちんと着直して、夫妻で立ち上がって迎える姿が全世界に報道された。上着をわざわざ身につけたのが、印象的だったのである。今回は90カ国からの首相参加であるから、カメラも選手入場する国の代表者の位置は調べていて、カメラを向ける。日本、さすが夫人は立ち上がって応援の手を振っておられたが、ファンのおばさんの姿であって、ファーストレディの全世界へのメッセージとは縁遠かった。側で首相が、暑さにうだって縁台で納涼にパタパタ団扇をさせているおじさん姿そのままで、立ち上がろうともしないのだから、シャツ姿は他の国の首相にも多かったが、礼儀正しい国だったはずの日本が、どうなっているのだろうと、目を引いてしまったのである。入学式で国旗の前に帽子を被ったままだったと、生徒代表の子供が退校処分騒ぎにまで発展した例もあるそうで、「ぼんやりとしていた」とまでで、この国旗に対するマナーを誰も問わない、日本のマスコミにもびっくりしている。中継局が気を利かせて飛ばして、知らされなかったのだろうか。怖い。このエチケット、とにかく全世界は実況で見てしまったのである。

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