シャトー・デ・テルヌ
 

「夏のおわりに」

 日曜日パリから100キロ少しの、シャルトルに近い田舎に招かれて出掛けてきた。朝の電車で発って、田舎の地方駅、日曜だけ走る電車や停まる無人駅があったり、結構田舎で暮らしても、慣れて時間を心得れば、方法は車が無くてもあるものだと感心する。到着時間に車で迎えに来てくれて、20キロばかり離れた一面の麦畑、トウモロコシ、砂糖大根の畑の彼方に知人の集落がある。
 車、電車など2時間でパリまで必ず着けるので、20年前この知人は在職中に、廃墟になっていた16〜17世紀に建てられたお城を買ったのである。人も住めないような廃墟だったが、大きな敷地がついて、パリ市内にワンルームマンションを買うのと同じ位だったという。週末、バカンスに通っては、この知人家族はせっせと石を積んだり、草抜き整地から始めた。門番小屋には、庭手入れ兼守衛の夫妻、大工兼石工の家族も住まいがあれば田舎でのんびり仕事をしいという人も見つかり、修復の見通しが出来たら呼ぶから、是非一度見にきてくれと聞かされ、その内に定年退職でこの城に引っ込んでもう10数年、パリには用事で時々通うという暮らしだったが、このほどいよいよ、1日来て欲しいと往復電車の時間まで指定されて、夏休みのある日曜日出掛けたのである。  

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