グランド・ホテル
 

「2004年」

 フランスでは別の要素もあって、1ユーロは6.557フランス・フランと一律交換レートに決められている。いままで1フランが最低単位であったのが、二年たってみると、チップでも喫茶店のコーヒーでもコイン一つ、1ユーロが最低単位のように日常がなってしまった。過去の1のつもりが現実に計算してみると、6倍から7倍値上がりしたのと同じ現象になったのである。
  1万円以上くらいの単位の品になると、まだ慣れないので、みんな一応昔のフランに計算して、それから高い、安いとフランで考える。土地、家屋とか高額のものは動かないけれど、日常の小額がみんなユーロになったために、値上がりしてしまったのである。経済統計など高額のもので統計をだすから、そんな物価上昇は無いことになってしまうが、とんでもないのである。昔の1フランのチップで感謝されていたものが、計算して小額貨幣の20セントを渡すと、不服顔して突き返されるようになっている。
 つまり、実質の日常が、ユーロ半端の切上げで、切り下げはなくて、すべてに3割から4割もの物価上昇なのである。日本からくる旅行者の人が、ヨーロッパでは物価高でお金がどんどん出て、使いでがなくなりましたなと皆がぼやく。
 パリジャンも、収入、年金などの額は変わらないから、うっかり使えないので、田舎の家にでも年末休暇は出掛けて、静かなんだろうと思うのであった。

2004年1月5日 赤木 曠児郎  
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