サン・ロツク通りと
アルジャントイユ通りの角
 

「2004年」

 お金の単位がユーロになって、丸二年たった。
 そして今、みんな物価高に喘いでいる。つい一年前までユーロ安だったのに、イラク戦争以来どんどん上がって、どこまで上がるか分からない。ドルはどんどん下がる。日本の円は、ドルに対してはレートが上がるのだけれど、ユーロに対しては一つも反映しない。安く成りっぱなしである。だから、今日本からヨーロッパに来た人はそれだけ不利である。高く強いお金を持っている国はたいへん有利なはずなのに、その日本国は昨年度2兆円も税金を使って、円がドルに対して高くなるのを防いでいる。一部の車メーカーの隆盛、一部の産業の輸出を有利に伸ばすために、国民の全部が負担、税金まで使って円の相場をわざわざ下げさせている。円安ということは、石油を割高に買い、世界から食料を割高に買うということでもある。世界に対する自分のお金の相場を、財産を目減りさせられて、誰も知らない、文句を言わない、不思議な国である。

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