オスマン大通り
 

「夏至のころ」

 夏の大休暇(グラン・バカンス)、労働者諸君、つまりサラリーマンには年に五週間の有給休暇が、義務づけられているこの国では、バカンス計算の年度の切りが六月に始まって、五月の末で終わり、貯め置きも、持ち越しもできないので、あわてて五月になって消費する人もありますが、まぁ近年は、夏にばっちりと「それじゃね」と五週間続けて休みをとる人はなくて、夏三週間、冬のスキー休暇に一週間、春休みに一週間とか、分けて取る人が多いようです。それでも大体は消化していて、六月を待ち構え、今年は何しようかな?、ともう気持ちは落ち着かない。社交界だって同じで、七月になると、パーッとみんな地方や、田舎のシャトーや別荘に散ってしまうのです。十月に入るまで、パリのシーズンは終わりなのです。ですから六月のパリは、もう催し物が目白押し、劇場、展覧会、音楽会、スポーツ、パーティ、毎日々々みんなが今年の仕残した予定を消化しようと一杯なのです。

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