今週の詩
2025.12.8.~2025.12.13.
『 あけがたすこし癒える私 』
仕事をどうにかやり遂げて、
疲れて泥のように眠る中で見た夢。
「それはこわい夢だった」と、
まるで自分の疲れや不安が作り上げたかのような夢でした。
「現実の私なら絶対に云えぬこと」を言ったがために、
はげしく後悔をしてしまいます。
「まるで目もくらむ首との取引」、
「誰にも助けて貰えないのに」など
読んでいるだけでも身につまされます。
ところが「私」は、
こうした夢を見たことを、
「夢が私をきっと治癒した」と肯定的に解釈し、
その一方でまだ夢に引きずられるかのように
「すこし癒やされて」いることで
自分を失っているかもしれないとの疑問を持ちつつ、
新しい一日を迎えようとするのです。
いつも新鮮な気持ちで過ごそうとする「私」と、
その背後には「こわい夢」をみるほど疲れた「私」は
どちらも「私」であることを、
光と影すなわち朝と夜にたとえており、
「私」のすべてを肯定しているように感じられます。
<文・白根直子>
疲れて泥のように眠る中で見た夢。
「それはこわい夢だった」と、
まるで自分の疲れや不安が作り上げたかのような夢でした。
「現実の私なら絶対に云えぬこと」を言ったがために、
はげしく後悔をしてしまいます。
「まるで目もくらむ首との取引」、
「誰にも助けて貰えないのに」など
読んでいるだけでも身につまされます。
ところが「私」は、
こうした夢を見たことを、
「夢が私をきっと治癒した」と肯定的に解釈し、
その一方でまだ夢に引きずられるかのように
「すこし癒やされて」いることで
自分を失っているかもしれないとの疑問を持ちつつ、
新しい一日を迎えようとするのです。
いつも新鮮な気持ちで過ごそうとする「私」と、
その背後には「こわい夢」をみるほど疲れた「私」は
どちらも「私」であることを、
光と影すなわち朝と夜にたとえており、
「私」のすべてを肯定しているように感じられます。
<文・白根直子>
永瀬清子さん プロフィール
過去の放送をPodcastで配信中!
朗読
- RSKアナウンサー
- 小林 章子
- (こばやしあきこ)
岡山市生まれ。
RSKイブニングニュースで永瀬清子さんをテーマに取材。
2003年 第29回アノンシスト賞・優秀賞「テレビ 実況・フリートーク部門」
2010年 第36回アノンシスト賞・優秀賞「CM部門」
2013年 第39回アノンシスト賞・優秀賞「ラジオ 読み・ナレーション部門」など受賞。
1906年、現在の岡山県赤磐市に生まれました。
1995年、89歳の誕生日に生涯を閉じるまで、生涯現役の詩人を貫いた「現代詩の母」です。
多感な時期を金沢・名古屋で、結婚して大阪・東京で暮らし、1945年に夫の転勤で岡山市に帰りました。
戦後、現在の岡山県赤磐市松木で農業に従事しながら詩を書き、詩の雑誌「黄薔薇」を創刊。
岡山県詩人協会の初代会長も務め、後に続く詩人を育てました。
また、ハンセン病の入所者とともに詩を書き、選挙により豊田村の教育委員、岡山家庭裁判所の調停委員、世界連邦運動に参加、近代岡山の女性史研究を行うなど幅広い活動も知られています。