今週の詩
2025.9.1.~2025.9.6.
『 わが老人の日 -月はふたつ- 』
敬老の日がある9月。
年を重ねた「私」にたくさんの花の贈り物が届きました。
贈り物を貰うほどに老いたことを認めて
「きっとみんなが慰めてくれてるのだ」と思う「私」。
けれども、その一方で「私」は、
「とりあえず慰められていようか」と、
老いたことを受けとめ切れていない「私」もそこにいるのです。
そんな「私」は、
「乱視がすすみ白内障も加わって」
夜空の月が二つあるように見えており、
そのためあらためて花束も慰めも二倍に見えていたと気づきます。
老いたことを認める気持ちと認めがたい気持ちも重ね合わせてあるとはいえ、
花束も慰めも二倍に見えていたところには、
慰めが老いたことよりも大きかったとも思えてきます。
老いと向き合う静かなユーモアと感謝がうかがえます。
<文・白根直子>
年を重ねた「私」にたくさんの花の贈り物が届きました。
贈り物を貰うほどに老いたことを認めて
「きっとみんなが慰めてくれてるのだ」と思う「私」。
けれども、その一方で「私」は、
「とりあえず慰められていようか」と、
老いたことを受けとめ切れていない「私」もそこにいるのです。
そんな「私」は、
「乱視がすすみ白内障も加わって」
夜空の月が二つあるように見えており、
そのためあらためて花束も慰めも二倍に見えていたと気づきます。
老いたことを認める気持ちと認めがたい気持ちも重ね合わせてあるとはいえ、
花束も慰めも二倍に見えていたところには、
慰めが老いたことよりも大きかったとも思えてきます。
老いと向き合う静かなユーモアと感謝がうかがえます。
<文・白根直子>
永瀬清子さん プロフィール

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朗読
- RSKアナウンサー
- 小林 章子
- (こばやしあきこ)
岡山市生まれ。
RSKイブニングニュースで永瀬清子さんをテーマに取材。
2003年 第29回アノンシスト賞・優秀賞「テレビ 実況・フリートーク部門」
2010年 第36回アノンシスト賞・優秀賞「CM部門」
2013年 第39回アノンシスト賞・優秀賞「ラジオ 読み・ナレーション部門」など受賞。
1906年、現在の岡山県赤磐市に生まれました。
1995年、89歳の誕生日に生涯を閉じるまで、生涯現役の詩人を貫いた「現代詩の母」です。
多感な時期を金沢・名古屋で、結婚して大阪・東京で暮らし、1945年に夫の転勤で岡山市に帰りました。
戦後、現在の岡山県赤磐市松木で農業に従事しながら詩を書き、詩の雑誌「黄薔薇」を創刊。
岡山県詩人協会の初代会長も務め、後に続く詩人を育てました。
また、ハンセン病の入所者とともに詩を書き、選挙により豊田村の教育委員、岡山家庭裁判所の調停委員、世界連邦運動に参加、近代岡山の女性史研究を行うなど幅広い活動も知られています。