永瀬清子の世界タイトル

岡山県出身の詩人・永瀬清子さんの詩をRSKアナウンサー 小林章子の朗読でお届けします。

永瀬さんの世界へ、心を踏み入れてみませんか?

今週の詩

2026.8.31.~2026.9.5.

『 出ていった三章 a 出ていった 』

      
道ばたからふと見えた
「門から座敷まですっかり見えている」家の中。
家から出ていったのは、
そこに暮らしていた誰かで、
この世を去ってしまい帰ってくることはありません。
空っぽになった家は、
これから誰が住むのかもわかりません。
門のそばの紫苑がうつむいているのは、
枯れてしまったからなのでしょう、
まるで帰らぬ人の姿のようです。
その家を見た「私」は、
「赤坊を生んだばかりの女のようだ」と思うのです。
出産によって
「女」の体から子どもが出ていき胎内が
空っぽになるように、
大切な存在が
「出ていった」空間の喪失感を
重ね合わせているのでしょう。
人が生まれるのは、
この世へ出ていくことであり、
亡くなるのは、
この世から出ていくことなのだと気づかされます。
どこかさびしさがぬぐえないのは、
「私」が出ていく側になる日を思わせるからかもしれません。
空っぽの家とうつむいた紫苑を見つめる「私」。
どこかから来た「私」は、
いつか「どこかへ」いく日が来る。
そんなことを、ふと思うような詩だと思います。

<文・白根直子>

永瀬清子さん プロフィール

永瀬清子さんの写真

1906年、現在の岡山県赤磐市に生まれました。

1995年、89歳の誕生日に生涯を閉じるまで、生涯現役の詩人を貫いた「現代詩の母」です。

多感な時期を金沢・名古屋で、結婚して大阪・東京で暮らし、1945年に夫の転勤で岡山市に帰りました。

戦後、現在の岡山県赤磐市松木で農業に従事しながら詩を書き、詩の雑誌「黄薔薇」を創刊。

岡山県詩人協会の初代会長も務め、後に続く詩人を育てました。

また、ハンセン病の入所者とともに詩を書き、選挙により豊田村の教育委員、岡山家庭裁判所の調停委員、世界連邦運動に参加、近代岡山の女性史研究を行うなど幅広い活動も知られています。

番組へのメッセージ

番組では、ご感想や朗読してほしい詩のリクエストを募集しています。

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朗読

RSKアナウンサー
小林 章子
(こばやしあきこ)

岡山市生まれ。

RSKイブニングニュースで永瀬清子さんをテーマに取材。

2003年 第29回アノンシスト賞・優秀賞「テレビ 実況・フリートーク部門」

2010年 第36回アノンシスト賞・優秀賞「CM部門」

2013年 第39回アノンシスト賞・優秀賞「ラジオ 読み・ナレーション部門」など受賞。