永瀬清子の世界タイトル

岡山県出身の詩人・永瀬清子さんの詩をRSKアナウンサー 小林章子の朗読でお届けします。

永瀬さんの世界へ、心を踏み入れてみませんか?

今週の詩

2025.11.17.~2025.11.22.

『 パイプ 』

      
「パイプ」という詩は、
日常の夫婦の一コマを切り取ったかのような詩です。
このような困りごとは、誰しも似たような経験があるでしょう。
自分でなくしておきながら、「私」をわずらわせる苛立ち。
どうしてもっと気をつけないのかと思うその背後には、
「パイプ」のように「私」も大切にされていない、
気にされていないのではないかという気持ちも込められています。
そして、この気持ちの向こうにある
「貴方」と「私」の関係が見えてきます。
「貴方」にとっての「パイプ」は、
「ぞんざい」な扱いでなくしてしまうけれど、
「なくなれば大さわぎして
一刻もそのままにはすまされない。」と、
大切な筈なのに当たり前でなくてはならないものです。
「私」にとっての「貴方」は、
手のかかる人で大切にしてもらえないことを嘆くばかりですが、
放ってもおけません。
日常は、こうした出来事とその向こうにある相手への愛で
成り立っていることを思わせます。
この詩は、
日常の小さな苛立ちの奥に潜む愛情を描き出すことで、
私たちに当たり前の大切さを思い出させてくれます。
 
<文・白根直子>

永瀬清子さん プロフィール

永瀬清子さんの写真

1906年、現在の岡山県赤磐市に生まれました。

1995年、89歳の誕生日に生涯を閉じるまで、生涯現役の詩人を貫いた「現代詩の母」です。

多感な時期を金沢・名古屋で、結婚して大阪・東京で暮らし、1945年に夫の転勤で岡山市に帰りました。

戦後、現在の岡山県赤磐市松木で農業に従事しながら詩を書き、詩の雑誌「黄薔薇」を創刊。

岡山県詩人協会の初代会長も務め、後に続く詩人を育てました。

また、ハンセン病の入所者とともに詩を書き、選挙により豊田村の教育委員、岡山家庭裁判所の調停委員、世界連邦運動に参加、近代岡山の女性史研究を行うなど幅広い活動も知られています。

番組へのメッセージ

番組では、ご感想や朗読してほしい詩のリクエストを募集しています。

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朗読

RSKアナウンサー
小林 章子
(こばやしあきこ)

岡山市生まれ。

RSKイブニングニュースで永瀬清子さんをテーマに取材。

2003年 第29回アノンシスト賞・優秀賞「テレビ 実況・フリートーク部門」

2010年 第36回アノンシスト賞・優秀賞「CM部門」

2013年 第39回アノンシスト賞・優秀賞「ラジオ 読み・ナレーション部門」など受賞。