永瀬清子の世界タイトル

岡山県出身の詩人・永瀬清子さんの詩をRSKアナウンサー 小林章子の朗読でお届けします。

永瀬さんの世界へ、心を踏み入れてみませんか?

今週の詩

2025.11.24.~2025.11.29.

『 季節のごとく 』

      
詩「季節のごとく」は、
年老いてやがてこの世を去ることを待ち望む
「私」を題材にしています。
年老いていくこともこの世を去ることも
季節のめぐりのように当たり前と捉え、
刻まれていく〈皺〉を樹木の「年輪」のように
静かに受けとめていきます。
「血を注ぐ」元気がまだある「私」は、
そのうち疲れから額に増えていく〈皺〉を思い、
自分の終わりを思うのです。
〈皺〉に象徴される年齢は、
さらに打ち寄せる波にも、
降りつむ雪にもたとえられ、
死が訪れた時には
「大地そのもののやうに冷える」のです。

この詩は、
老いと死を終わりではなく、
自然への回帰と捉えることで、
読む者に静かな慰めを与えているように感じられます。
 
 <文・白根直子>

永瀬清子さん プロフィール

永瀬清子さんの写真

1906年、現在の岡山県赤磐市に生まれました。

1995年、89歳の誕生日に生涯を閉じるまで、生涯現役の詩人を貫いた「現代詩の母」です。

多感な時期を金沢・名古屋で、結婚して大阪・東京で暮らし、1945年に夫の転勤で岡山市に帰りました。

戦後、現在の岡山県赤磐市松木で農業に従事しながら詩を書き、詩の雑誌「黄薔薇」を創刊。

岡山県詩人協会の初代会長も務め、後に続く詩人を育てました。

また、ハンセン病の入所者とともに詩を書き、選挙により豊田村の教育委員、岡山家庭裁判所の調停委員、世界連邦運動に参加、近代岡山の女性史研究を行うなど幅広い活動も知られています。

番組へのメッセージ

番組では、ご感想や朗読してほしい詩のリクエストを募集しています。

過去の放送をPodcastで配信中!

朗読

RSKアナウンサー
小林 章子
(こばやしあきこ)

岡山市生まれ。

RSKイブニングニュースで永瀬清子さんをテーマに取材。

2003年 第29回アノンシスト賞・優秀賞「テレビ 実況・フリートーク部門」

2010年 第36回アノンシスト賞・優秀賞「CM部門」

2013年 第39回アノンシスト賞・優秀賞「ラジオ 読み・ナレーション部門」など受賞。