リュクサンブルグ宮殿
 

「日本・パリ往復」

 ミサイルが飛んだり、現実に打ち込まれる中近東もあり、遠くから自分の所属する国を見ていると、これからが心配に映ってしまう。特に近年のヨーロッパのお金、ユーロの値上がりは凄いので、毎日お金の外貨両替屋の店頭の出される円の相場を、気にしてみていると、日本がこんなに低く見限られていて、大丈夫なのかなと不安に襲われてしまうのである。つまり、つい五年位前、1ユーロが90円くらいだったのに、日本円の相場が上がることはなくて、今日では1ユーロが150円出さなくては買えない。円が安く評価され40%も価値が下がった訳であるから、不安が湧き上がるのに誰も関心を示さないのは、日本で不思議な光景だった。アメリカの$にだけは敏感に反応し、日経平均株価指数が少し上下しても一喜一憂するのに、ヨーロッパは遠い国かも知れない。
 日本滞在中は新幹線によく乗った。1時間に何本も出るので「もう時刻表は不用です」などと広告されいて、確かに京都、福岡など手軽に往復できる。そしてそれぞれの盛り場が人出で賑わっていて、ああみんな生活しているんだと、ヨーロッパから眺めて不安だったのがやっと安心な気持ち、日本人の集団のなかにもどって、駅のホームで溶けてゆくのだった。
 バカンスの出発、ハイウエーの何百キロもの渋滞の報道、またヨーロッパの生活にもどった。

2006年7月15日 赤木 曠児郎  
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