ベルサイユ・トリアノンパラスホテル本館
 

「シーズンの始まり」

パリ・コレの週間が始まり、100以上のコレクションが続いているがあまり昔のような熱気もない。携帯電話やITの全盛になって、各自手軽にパチパチ情報を取り込み、着る人達自身が、自分で着るものがファッション。デザイナーやマスコミの情報に無関係、そっぽ向き始めている。フィルムで撮るカメラマンだって需要が少なくなって、昔よりずっと少ない会場風景である。
 パリ日本文化会館では、日欧文化交流協会というのが誕生して、第1回目の催し。萩焼き三輪窯の三輪華子展が開かれた。伝統文化をふまえた若い作家の作品の国際交流を援助するのを目的に、パリで1997年に亡くなられた妹の堤邦子さんを記念して、兄の堤清二さんが主催。セゾン文化財団と軽井沢のセゾン現代美術館が共同して、昨年フランスに創立した財団法人である。
 堤邦子さんは37年間フランスに住み、西武デパートのパリ代表として、フランス文化を次々買い入れては日本に送った人。1960年代〜70年代、場末の駅デパートと言われていた西武デパートが、時代の流行は西武から、新しいものはまず西武に取材に行けと、東京のマスコミに革命が起きた、その原動力だった人。堤清二氏が挨拶で、「妹が買いつけたフランス商品を読み上げて紹介しましたら、名前だけでたっぷり3時間は掛かりますから…」に、みんな微笑む。デパートに並べるブランド商品だけでなく、船から、カジノから、高級美術雑誌の発行、オート・クチュールの店、大ホテル、こちらの社交界に関係あるものは何でも買い入れて、ビジネスに結びつけようとすることが出来た人だった。


2005年10月10日 赤木 曠児郎  
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