オー・プランタン百貨店
 

「パリの晩秋

 旅とは不安なものだし、外国の旅とはもっと不安なのが当たり前である。自分が不注意なら事故に会うし,油断で隙だらけなら襲われる、これが当たり前のことであって、それに耐える自分を訓練、磨きあげることに外国旅行の意味があって、一人でホテルにいる外国旅行の孤独さは、不安と耐え難さの連続が普通である。団体で敷かれたレールの上を、快適にチャホ、チャホされながら歩いても、行ったというだけで、後から何の印象も残っていないことが多い。自分で苦労に出会い、発見の感激があって刻み込まれ、それでまた人間は旅を求めるのだろう。

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