プリュネ将軍通りの古道具屋
 

「パリの晩秋

 たった一つ、飛行機テロや事故に対する心配から、仕事に不用な観光旅行者の減少だけは目立ち、お土産品商店などは「平年の4分の1です」などと売上げ減少に悲鳴をあげるが、平常が観光公害に冒されているわけだから、不用な人間の溢れていない、静かな普通のパリが取り戻せ、住んでいる人間にはまことに有り難いのである。観光客でさえも、美術館で不用に並ばされ、入っても団体で混乱したり、レストランでも団体ツアー入場でイライラさせられたりのない、いいパリに出会えてよかったですと、感激している。団体ツアーというのは、参加者には、安くなるし、便利なようでも、数の論理で値切り倒し、数の暴力団で集まって押し通しているようなものだから、普通ではないのであるのが、こんな時によくわかる。

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