menu

ノートルダム清心女子大学

原田豊己 学長

2020年4月27日(月)

——夢をお聞かせください。

原田:すべての命を大切にする学生たちを育てたいと思っています。

——大学の特徴についてお聞かせください。

原田:当大学では、「真の自由人を育てる」ということを掲げています。真の自由人とは、自分で考え、自分で判断し、自律していくことを意味しています。真の自由人になるが故に、困っている人や貧困にあえぐ人、人権・人格的に傷つけられている人や、世界中のさまざまな問題に関わっていくことに目を向ける学生になることができるのではないかと思います。

——具体的な取り組みについては。

原田:岡山市が今取り組んでいる「SDGs」(持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)があります。これに関連して、学生たちはこの京山地区でのさまざまな環境問題に取り組んだり、高梁市にある農園と一緒になって紅茶を作ったりと、さまざまな活動でこの地域社会にたくさん貢献しています。
SDGsで言われているさまざまな切り口は、すべて「命を大切にする」というところから生まれてきているだろうと思っています。命が大切にされるSDGsに関心を持ち、それを実現していく学生を育てていきたいと考えています。

——英語教育にも力を入れていらっしゃいます。

原田:世界中ですべての命が大切にされるためには、世界に目を向ける学生でなければならないと考えます。そのような意味からも、英語が必要になる時代ですから、英文学科の学生だけでなく、全学的に英語力を付けてもらえればと考え、大学としても力を入れているところです。単に英語ができるというだけでなく、相手の国の文化や歴史に対して理解を持つ、世界的な視野を持った学生を育てていきたいと考えています。
そこで、独立した部署として「国際交流センター」を立ち上げ、私自らがそのセンター長を務めております。カトリック教会のネットワークなどを活用して国際交流の機会を設け、単に英語ができるという以上に、世界で命が大切にされていく集まりに自分たちも参加しているんだという意識を持つよう学生を養成しています。世界的視野を持って活動していくと同時に、岡山の地で地域に貢献していく学生たちをこれらかも育てていきたいと思っています。

——今回の新型コロナウイルスの影響について、学生さんにはどんなメッセージを伝えていますか。

原田:「検疫」(quarantine)という言葉があります。これはイタリア語・ラテン語の40(quaranta)という数字が基になっているようです。14世紀くらいにベネツィアやジェノバなどの海運国が、病気になった船員たちを40日間島に隔離したのが語源だと言われています。当時、科学的知識もほとんどないのに、どうして40なのかということを考えた時、旧約聖書にも新約聖書にも「40」という数字が出てくるのです。40というのは、苦しみや困難を表わしています。40という数字が出てくる出来事があった後には、前よりももっと素晴らしい世界があるということで、「検疫」が象徴的な言葉となっているのです。
そういうことから、今はすごく苦しいのですが、この苦しみの後にはきっともっと素晴らしいものが待っているという希望を、学生たちに絶えず語っていきたいと思っています。

——大学の建物は伝統的で素晴らしい建築です。

原田:1929年に建てられた校舎「ノートルダムホール本館・東棟」は国の登録有形文化財にも指定していただき、その素晴らしい建物の中で学生たちは生活しています。
素晴らしい建物というのは、それ自体が人間を育てるものです。建物が視野に入ると、自然と自分の立ち振る舞いが正されていくような迫力を、この建物は随所に持っています。しかも単に飾りの建物ではなく、実際にそこで授業が行われ、聖堂で祈ることもできます。そういうことを通して学生たちは知らず知らずのうちに人間が持つ品格や品位を身につけていくのではないかと考えています。

——改めて、今後の方針をお聞かせください。

原田:「地球規模で考え、地域で行動する」という言葉があります。私どもの学生にも、世界規模で考えたことを、この岡山の地域の中で生かしていけるよう、さまざまな経験を積んで欲しいと思います。これからも世界にかかわる、世界に開かれた大学として、この岡山の地で学生を育てていきたいと思っています。

原田豊己(はらだ とよき)

ノートルダム清心女子大学学長
昭和28(1953)年山口県生まれ。明治大学農学部、上智大学神学部を卒業。同大学大学院神学研究科博士前期課程修了。教皇庁立ウルバノ大学大学院神学研究科博士後期課程修了、博士(Ph.D., 聖書神学)の学位を取得。昭和57(1982)年、カトリック広島司教区司祭。ノートルダム清心女子大学客員教授を経て、平成29(2017)年4月、第6代学長に就任。