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大町

秋山秀行 社長

2020年4月20日(月)

——夢をお聞かせください。

秋山:日本のだがしで、世界中の子どもたちを笑顔にしたいです。

——食品の企画や卸、だがしの直売などを手がけておられ、運営する瀬戸内市長船町の「日本一のだがし売場」には年間50万人以上が訪れています。仕事をする上で大事になさっていることは何でしょうか。

秋山:一言で言うと「子どもの笑顔」です。子どもの笑顔のために仕事をしているようなものですね。思わずテンションが上がってしまうような面白い商品や仕掛けをたくさん用意して、子どもたちが笑顔になるような売場作りをしています。
また、現在は新型コロナウイルスの関係で安心・安全対策に力を入れています。入店いただく時には、ただアルコール消毒液を置くのではなく、子どもから大人まで一人ひとりに社員が消毒液を付けるようにしています。もちろん社員は全員マスク着用で対応し、お店の換気も万全にしています。

——お菓子の並べ方も工夫されていますね。

秋山:小さな子どもさんでも手が届きやすいように商品の陳列を低くするなど工夫しています。また、各売場に子どもが笑顔になるような物語風のテーマを設けて、それぞれの売場に変化をつけています。例えば、イカの珍味がありますが、これは魚のお菓子をたくさん集めた「お菓子の水族館」というコーナーに並べています。子どもサイズで作ってあるので、子どもたちは中に入って、よく記念写真を撮っています。また「10円神社」には実際に宮司さんが作ったお祓いの道具がありますし、「うまい棒神社」というのもあります。
このように子どもが喜ぶような仕掛けをいろいろと作っていますので、楽しんで回りながらお買い物をしていただけます。こうした工夫は、社員がみんなで考えて、「自分の子どもならこうすれば喜ぶのでは」という目線で楽しめる売場を作っています。

——値段設定にも工夫があります。

秋山:子どもが自分たちのおこづかいの予算にあわせて買えるようにすることが大切だと思います。そこで、計算がしやすいよう消費税込みの価格で10円単位とし、値段も分かりやすいよう、10円以外のものには全ての商品に値段のシールを貼っています。レジに行って値段が違うということがないので、子どもが自分で計算して買えるわけです。

——買い物を通じて、子どもたちにどんな経験をしてほしいと考えておられますか。

秋山:やはり食育です。たとえば200円の予算でもいろいろなものがたくさん買えます。しかも自分で選んで自分で計算して買えるということで、算数の勉強にもなるし、楽しく学ぶことができると思っています。

——お菓子のラインナップが豊富です。何種類くらいあるのでしょう。

秋山:お菓子だけで4千種類くらいあります。だがしでも新製品が出ますから、どんどん変わっていて、これからも増えていくと思います。普通のだがし屋さんではできない品揃えだと思いますが、メーカーさんや子どもの希望を入れてどんどん広げた結果、こんなになってしまいました。
一般のスーパーなどでは売れ筋のものしか置いていませんが、当社ではメーカーさんが作っただがしの全商品を置いているんです。全部の中から好きなものを子どもに選んでもらいたい。そういうスタンスでやっていますので、他には置いていない商品がたくさんあります。

——日本のだがし文化の特徴は。

秋山:海外では大人が子どもにお菓子を与えるという文化ですが、日本では子どもたちが自らだがし屋さんに行って買う文化がありますから、商品開発も全く違ってきます。海外だと、おもちゃが付いたり笛が鳴ったりという商品はどれも高価ですが、日本では10円からあります。しかもこれだけ種類があって、お菓子かおもちゃか分からないようなものまでたくさんある。これを我々は「世界の奇跡」と呼んでいます。
フランスの子どもたちが日本のだがしで笑顔になるのをみて、この文化はすごいものなんだと実感しました。そこで、日本の“DAGASHI”が世界に認知されるようにと「DAGASHIで世界を笑顔にする会」を立ち上げ、3月12日を「だがしの日」としてイベントを行うなど、これをぜひ多くの方に知ってもらいたいと普及に全精力を傾けています。

——3月12日の「だがしの日」についてご紹介下さい。

秋山:3月12日を「だがしの日」として、「だがしと笑顔を交換する」というキーワードで全国にイベント活動を展開しています。日付は語呂合せではなく、お菓子の神様である田道間守公(たじまもりこう)が神になった日(命日)が3月12日なんです。お菓子の神様で知られる和歌山県の橘本(きつもと)神社の宮司さんからこの日を提唱いただきました。
「だがしの日」のイベントでは、だがしおじさんに扮して、だがしが飛び出す紙芝居を全国の被災地の子どもたちのところへ持っていき、それを見に来た子どもたちにだがしを渡します。子どもたち一人ひとりに、笑顔と交換でスタッフがだがしを手渡すのです。

——文字通り、「だがしと笑顔の交換」なんですね。

秋山:欧米の文化としてハロウィンやバレンタインデーはありますけれども、こちらはニッコリするだけでお菓子がもらえます。どんな子どもも駆け引きなく、笑顔だけでだがしがもらえる。この文化を日本中、さらには世界中に広げたいと考えています。
ただ「だがしと笑顔を交換する」、これだけです。やはり子どもの笑顔を体験することが大切ではないかと思います。だがしをあげただけで笑顔がこんなに返ってくるなんて、すごいことだと思うのです。子どもたちは皆、だがしおじさんが大好きのようですし、誰でもなれますから、全国にどんどんだがしおじさんが増えてくれればいいなと思っています。

——「だがしの日」の今後の展開は。

秋山:だがしと笑顔を交換するイベントを渋谷などでやろうと計画中です。また、被災地にも行こうと思っています。将来は、3月12日を、全国の大人が皆ポケットにだがしを入れておき、子どもがニッコリしたらお菓子をあげないといけない日にしたいと考えています。そして最終的には、それを世界にまで広げたいと思っています。子どもがニッコリしたらだがしをあげなければいけない日ですから、そんな時にケンカや戦争はできません。いつかはバレンタインもハロウィンも超える、日本発の世界平和のためのイベントにしたいと願っています。

——改めて夢をお聞かせください。

秋山:日本のだがしの魅力やだがしの文化というのは特別なものなんだということをぜひ多くの方に知ってもらいたいです。日本のだがしというのは何十年と続いていて、小さい会社が一生懸命子どもの笑顔のためだけに作り続けています。この文化は奇跡だと思います。これをやはり世界に広めたいですし、その前にまず日本人に気づいてほしいと思います。

秋山 秀行(あきやま ひでゆき)

株式会社大町代表取締役社長

昭和33(1958)年岡山市生まれ。昭和56(1981)年同志社大学文学部卒。同年、株式会社大丸入社。昭和60(1985)年株式会社大町入社。平成11(1999)年代表取締役就任。全国菓子卸商業組合連合会中四国菓子卸商業組合理事長。公益財団法人おかやま環境ネットワーク理事。一般社団法人DAGASHIで世界を笑顔にする会代表理事。一般社団法人瀬戸内観光協会代表理事。趣味は子供と遊ぶこと。好きな言葉は「先義後利」。