「顔面を半分覆っての外出は罰金150ユーロ?」

パリ日本文化会館も3月から閉めたまま、職員も自宅テレワークで最少だったが、9月29日、初めて扉を開き催しが再開された。4月3日に予定されていた庄司紗矢香さんのリサイタルである。1983年イタリー生まれのバイオリン演奏家、ブラームスとバルトークの曲だが、背景にビデオでいろいろなカラー模様の画像が現れる趣向が新工夫で、ストラディバリウス1792年製での演奏である。観客は半分しか入れられず、みんなマスクをして、一席ずつ間隔を空けて座り、帰る時もドッと重ならないように座席の一列ずつ順に退場、いろいろコンサートを開くにも新工夫が凝らさなければ、開けないのである。10月7日からは同じくパリ日本文化会館の3階展覧会ホールで、「浮世絵に見る日本化粧の美の秘密」展、ポーラ化粧品の後援で、150点の同社の持つ浮世絵コレクションや実物参考資料を使って、江戸時代の女性の美容・結髪の回顧展が、明年2月6日まで始まった。会場スペースに一時に80名しか入れず(催し会館や事務所への規制で1人に4平方メートルの割で必要)、予約制だが少しずつ日常リズムが戻って来ている。この展示、現代のわれわれの知らないことが殆どで、丹念に見て行くと実に見応えがある。丸髷だ、島田だ、兵庫だと、文学の言葉では読んでいても実物の持つ形や意味、厳密に区別され、社会の決まりがあり、それが浮世絵に描きわけられているのである。この年になって「目から鱗とは」の、展覧会の始まりであった。

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