岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2019年12月10日

「ストライキにもめげず」

12月5日から久方ぶりに珍しく大規模なゼネラルストライキが始まった。まだ続いていて1995年以来と言われ、クリスマスまで続くかも知れない。交通機関の労組が中心なので、みんな通勤にも四苦八苦、出足を控えるから、商店も年末セ-ルの大事な時期に、がくりと売り上げが落ちている。IT・カードの時代だから、過去の時代のように郵便がストップして困るということもないし、国営ラジオはもう一週間以上も局員ストライキのためニュース報道を中止、音楽だけを流しているが別に困ることもない。食料品などの商品が店頭から姿を消すということもないし、クリスマスセールの季節で豊富に溢れている。インターネットで買い物もオーダー、配達されて済むことが多くなって、外に出る必要もない生活の人も多い。近所の地下鉄駅もシャッターが降ろされ、3本ある線全部だめ、先週来、陸の孤島のようなものである。

今回のゼネストは、1995年以来とのことであるが、現41歳の若い大統領を選び、それを支える若い政治家が生まれ、将来の国民年金制度維持のために、このままでは破産すると改革を試みたのである。労組の発達したこの国では、ハードな職種の理由とか、折ある毎に労働争議を繰り返し特殊な特典契約が42もあり、例えば珍しいのは、オペラ座のバレリーナなどは40歳で満期隠退、新幹線の運転手などは50歳代で満期退職、公務員は公務員で特別に有利な計算基準とか、いろいろあるのである。不合理だからそれらを一掃して改善、国民は男女みなが同じ基準で平等にと言い出したのが若い新大統領の政策で、組合も持てない弱い一般の庶民からすれば、もっともなことと賛成なのである。見直し改革により運営資金も改善しなければ、特例を認める現在のままの支出では運営不能におちいるとの計算もある。基準の平等化、見直しとなると減額になる人も出るから、そうなると黙ってはいられない。言論達者が売り物のひとたちが、口角泡を飛ばして反対となり、組合はスト宣言となったのが今回である。55年の折の改革は流れたので、今回どう落ち着くのか興味深々、フランス人にも選挙の一票しか各人に与えられた武器はない。皆が選んでこうなった結果なのであって、外国人のわれわれはそれを見ているのである。

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