「モネの睡蓮」

夏休みに入るので、夏期間中はみんな地方に分散して出掛け、地方でフェスティバルや色々の催しが開かれる。以前は「バカンス中は閉館します」という美術館も多かったが、観光王国の首都パリがそれでは済まなくなったのだろう、夏場の間の企画展もいろいろと出来て、開かれるように変わっている。今年の私のお勧めはパリ市立プチパレ美術館の「ロンドンの印象派1870~1904」展である。パリコンミューン革命を避難してロンドンに行った当時の芸術家たちの記録展。中にモネ、ピサロ、シスレーなど後の印象派の巨匠も数々で満足させられ、現在世界各地の美術館に散っている、モネの「テームス河連作・議事堂」が揃って集められた最後の一室、見応えがある。しかし何より1900年パリ万博のパビリオンに建てられた、この美術館の建物が良い。来月9月には、日本の「若冲」展がここである。

近くのチュイルリー公園の端、コンコルド広場に面して建つオランジュリー美術館も、小さいのだけれど中に大きな8点のモネの睡蓮の絵の楕円形の2部屋があって、人を集めている。昔は地下室で部屋に空気が一杯に満ちて感動したものだが、近年改装して天然光で見えるようにと二階に移され、壁に貼り付け変え。その折に修復されたらしく、保存に押さえつけられたようで画面に昔の輝きがない。絵に空気が消えたのが悲しく何か違ったと言う感じがする。それでもここでしか見られない大作で、足を運ぶ価値は十分にまだ残っているのではあるが、少し残念。1階には画商をしていた夫妻が寄贈した150点の、19世紀末、20世紀初頭の油絵コレクション、セザンヌ、マチス、ローランサン、ルソー、からドランまでの日本人にもお馴染みの作品揃い、1点1点時間がたつ。夏の特別企画展はモネの睡蓮にイメージ触発された1950年代のアメリカのアクションペインティングの有名作家の作品と、ヒントになった「モネの睡蓮作品」が集められ、並んで展示されて、成程と現代アートのつながりが頷ける。現在はどの美術館もブチックコーナーを充実させ、お土産商品の開発に力を入れている。モネの睡蓮の葉をイメージした陶器の皿を、ポルトガルで製造、発売発表に招かれて、久しぶりに訪れたのだった。

2018年7月11日 赤木 曠児郎

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