岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2018年3月11日

「2018年3月の近況」

地中海沿岸のシリアと言う国で、内戦が続いている。ダマスカスという首都は、映画の名作「アラビアのローレンス」で、ダマスカス占領を目指したファイナルでお馴染みだが、もう何年も内戦が続きヨーロッパに避難民が大量に流れ出して、大問題を振り撒いている。連日どこの市を攻略した、奪回したと、ロシア・中国の肩入れする側と、アメリカ・ヨーロッパなどの肩入れする側、それにアラブ諸国のそれぞれがあって、日本では気にもせずに呑気に日常が過ぎるが、危険な戦争の火種である。パリの外国人特派員協会で、人権上国際社会で禁じられている毒ガス兵器が、政府軍によって民間人にも無差別に使用されていると、反体制派の師団長と弁護士が出席、ヨーロッパに向けて訴えの初記者会見が開かれた。アラブ語に通訳が入り、聞き取り難いけれど、ビデオや画像が延々と映され、大人、子供一般市民が口から泡を吹き苦しむ姿、ロシアや政権側の発表では否定されていても、使われているのは事実だろう。会場がパリ2区の区役所ホールだったが、記者側も20名ほどしか集まっていなかった。内5名は関係者とわかる出席、日本のNHKとTBSがカメラも入れて3名ずつ居たから、演壇の方が賑やかな10社足らずの出席、淋しい記者会見だった。しかし何故、同じ国内で、同じ宗教の人が、宗派の違いでこのようなことになるのか、宗教って何だろうと、考えさせられるばかりだった。フランスのテレビのトップニュースでは、シリアの両軍の攻防戦で目茶目茶に破壊されて行く、市民アパートビルの画像が、毎日のように流れる。

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