岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2018年1月10日

「世界のトップ芸をテレビで満喫」

年末、年始、警戒の人員がフランス全土で14万5000人動員され、テロの警戒。パリのシャンゼリゼだけでも、約4万人の警戒体制で10数万人の人出だったという。「ペタール」と言う爆竹や、個人花火は人身事故が多いためフランス国内では厳禁で、自由なドイツから買い物して持ち帰る車を、国境の税関で検査して大量に没収している姿が、ニュースに流れる。

以前は新年と同時に一斉に車のクラクションをブーブー鳴らして走り回るのが名物だったが、これも禁止で静かなものである。結局パリを離れて田舎の別荘か、自宅で家族や友人と集まって過ごすのが、近年の好まれる過ごし方のようである。以前の習慣では「レベイヨン」と呼ばれる、レストランやカッフェレストランの開く、年越し特別豪華メニューの競争や、ニューイヤーパーティが名物で、広告や予約勧誘が競って盛んだったが、昨今はこの広告も殆ど見かけなくなった。費用が掛かるし、開いても人が集まらないからやっても仕方ないということだろう。

一方で高級食料品店などは、年越しは年一度のかき入れ時、この時とばかりの大散財で大行列の大混乱であるが、結局は家のテレビで見ているのが安全なので、シャンゼリゼのイリュミネーションと花火の年越し光景も、映る顔は旅行の思い出に来た外国人ばかりが映る。世の中には恨みや不満を持って居る人もいて、年越しの日に盛り場の路上駐車の車に火をつけて燃やす人も出るのである。フランス全土で今年は1031台燃やされ、パリでは東部の区と近郊だけで250台、一昨年は警戒で下がる傾向だったのに、また昨年、本年と発生増加傾向だと、新年に警察から発表される。郊外の移民多い地区で警官が暴行を受ける事件も起きて、集団で殴る蹴るの場面がテレビで流れ世論がショック。今年は幸い大きなテロリストの事件は、ヨーロッパでは起きなくて良かったが、注意されなくても地元の住人は安全を求め、テレビで見ながら、引っ込んでいるのが第一となる。

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