「三週間、夢のバカンス」

 飛行機で訪れるツアーもあるが、ホテルのような船に乗ったまま、太平洋沿岸の遺跡を見学するのも、年齢相応でこれなら可能との計画だった。ペルーの北部のトルヒーヨという町の郊外にある太陽の神殿、月の神殿など、紀元1000年頃まで栄えていた国らしいが、まだ日本がバブルに沸いていた頃、1988年から発掘が始まって、その文化の内容が表に出てきたばかり。イランのシラーズのペルセポリス遺跡(前5世紀)に感動した時のような文明が、1000年位後になるが全然離れた南米のここにも誕生していたのだと、ただ驚きしかなかった。立ち寄れなかったが、もう少し北のチクラヨという町にはシカン遺跡というのがあって、ここは日本のテレビ局TBSの遺跡調査団によって1991年から発掘、大量のインカに先立つ王朝の、黄金製品がでてきた場所もあるそうである。スペイン征服者が血眼になって掻っ攫って行った後でも、まだまだ未明の土地なのである。何処に行っても、どの町もどの町もパリのユネスコの世界文化遺産に指定されてと言うから、有難いのか、有り難くないのか、へーこんなところまでと驚くばかりだが、指定されていても中近東の石仏のように、ぶっ壊されて無くなってしまうものもある。まあお墨付きは無いよりはある方が、観光する側の励みにはなる。

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