「3年ぶりの日本個展」

 秋の美術シーズン、昨年の国策「北斎」大展覧会につづいて、明年1月まで、パリの市立プチパレ美術館で、日経新聞主催だが「國芳」浮世絵展が250点の作品で、盛大に開かれた。これは同時に170点の作品の「近代の幻想派ヨーロッパ版画展ゴヤからルドンまで」と、二本立て併催で開かれている。あまり日本人に馴染みは薄いが、ヨーロッパには銅版画、木版画、石版画、各種テクニックの巨匠が、19世紀には競っていて素晴らしかったのである。このような版画芸術の下地があったから、フランス人版画家ブラックモンが、当時日本から磁器輸出のパッキング材に、北斎漫画本や、浮世絵の和紙を廃品利用され、日本人にとって浮世絵なんて現代の新聞折り込みのチラシのような物だったのを、1856年これは素晴らしい新しい表現のものだと発見して集め出し、同好者が増えてジャポニズムが流行となった。ブラックモン作の版画も展示され、歴史の現実を会場で示されて、ヨーロッパ美術の厚みを、ここでは思い知らされる。
 パリ日本文化会館でも明年1月まで、日本からの現代美術「高橋コレクション展」42点の作品が、文化庁の主催で始まった。東京の蒲田に精神病院を開く高橋龍太郎医師が、日本の若い現代美術に興味を持ち、1997年から精神病治療に美術の効果の関心から、ご自分も「嵌ってしまった病人だ」と笑われるが、2000点の大きな各種の現代作家の作品を集めて有名になったもの。鹿児島から始まり日本では10数カ所で展示されて、今回が始めての海外展示「現代日本美術のレベルも高いと思うが、海外での知名度や評価はとても低い。海外から人気になった劇画、マンガだけでなく、アートの分野でも見直しの機会となればと、お貸しした」とホープを語られる。
 ESSECエセック経済商科大学院、パリ郊外セルジーに1907年創立私立大学だが、日本にも大阪の枚方に分校を持ち、日仏の経済協力に人材を輩出している。日本との交流30周年とかで、式典が開かれ、前駐日フランス大使もこの学校の卒業生で、今まで1200名が、日本部関係の卒業生数とか、以上が帰パリ早々みたもの。  

2015年10月11日 赤木 曠児郎

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