「美術の話題など」

 グランパレ美術館で1月まで続く「北斎展」オープンで、目下文化話題独占のような今週であるが、パリ市立チェルヌスキ東洋美術館で、9月半ばから、同じく1月中旬まで開かれている「日本の四季展」の方を、見応えのあるものと推奨したい。北斎の版画は、版画であまりにも見慣れているので、人混みにおしかけて是非見なければならないものともおもえないが、18世紀、19世紀の江戸時代の文人画の一級品、池大雅、文晁、応挙・・・村松梢風の「本朝画人伝」でお馴染みの画家たちの画幅が100点近く展示されているからである。初耳だったが、アメリカ人の大塗料会社の社長夫妻が日本美術に興味を持ち、1972年からブルックリン美術館の日本美術専門学芸員の妹のアドバイスでコレクションスタート、買い集めた江戸時代日本美術品300点の一部であることである。将来は社長夫妻の出身校である、ハーバード大学美術館に寄贈される遺言と伝えられる。書物で名前しか知らなかった画人たちの本物を目に出来、素晴らしい江戸時代の美術のレベルに、圧倒されてしまった。このようなものがあるから、外国人が注目していたのである。

2014年10月10日 赤木 曠児郎

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