「今年の花火」

 今は夏休みの季節である。政治も、何も、フランスの全てが、8月15日を中心に夏休みである。観光客のための食事や、最低の必要を除いて、みんな休んでしまう。郵便局だって、8月中は午後の半日しか開かない。沢山の人が交通手段を使って移動する。南に行くハイウエーは、バカンスの始まりの日は1000キロの交通渋滞、ノロノロ運転で車が詰まってしまっていると報道される。つまり東京から下関くらいまで、炎天下にノロノロ運転を繰り返し、田舎、海岸、山に行き、そして又、夏休みの終わりの週は、パリに向けて逆向きに繰り返される。それでは飛行機でと思うと、必ず航空会社や空港の職員は、人が夏休みに一番移動をする日を選んで、ストライキ宣言をする。毎年恒例である。この日に沢山人を運んで利益を上げておかねばと思うのは日本人だが、経営陣に一番パンチが効くからと、働く側は考えるのである。もう年金暮らしだし、自由なのだから、みんな出払って静かなパリで、ゆとりを満喫と考える仲間が現れても不思議ではない。
皆は冬に備えて体を陽に焼き、太陽を求めて南に行くのであって、緯度の高い北の町パリは、避暑地なみの気温なのである。街路樹の緑や、公園、広場が多く、走る車も少なくなって、快適な町の一言。自由業の人など、日常の雑務に煩わされず、他人のバカンスにも行かないでと、不審な目と体裁を気にしなければ、大変に自分の仕事が捗る、そんな葉月である。

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