岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2013年7月10日

「昨今、タバコから思うことなど」

  パリの街を歩くと、各ビルの通用口の前で必ず10名から20名足らずの男女が、タバコ休憩をしている。寒い真冬でも少なくないが、季節の良い今頃は、本当に歩道で会話が弾んでいる。建物の中では法律で一切禁煙の取り決め、だから喫煙室を設けることも不可能で、フランスでは路上でノビノビと吸うしか方法がないのである。カッフェ、レストランでは食事中でも外に出る。外に簡単な灰皿も用意されている。健康のための禁煙運動の、長い間の闘いの末の大勝利なのである。この国ではタバコのコマーシャルさえも、有害であるから広告できないのである。タバコ税だけは毎年アップ、重く上昇するが、コマーシャル収入は無い。地球温暖化反対とか、大震災、〇〇の運動家という人達は、何かの種で他人の幸せのために活動を奉仕する人たちだが、NGOなどと言うと、多少職業化を感じる時もある。タバコの大勝利で、さて次のテーマ、始まるぞと思ったら、もうアルコールの害反対の運動が、本当に始まった。日本の飲酒運転禁止は、すでに実に徹底していると感心するが、ワイン大国フランスで、アルコール反対とはまさかと思ったが、ボツボツとマスコミなどにも見られるようになった。エミール・ゾラという大文豪は「居酒屋」という小説を書いて、アルコールの害を訴え、当時の酒造業者の猛反対、家の煙突に詰め物をされ、酸欠で中毒死させられたと囁かれる、19世紀の話である。

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