「岡山・札幌・東京・パリ」

 パリに帰ると、街路樹の青葉の季節、マロニエの花が咲いている。観光客で一杯溢れている、フランスでも連休に恵まれてゴールデン月間の5月だが、東京に比べると大変のんびりと映る。
 メーデー、労働者の祭典で始まるこの月、やはり産業の不振と失業者の増大が重い影を投げかけていて、大いに期待されて1年前に誕生したばかりの社会党大統領と社会党政権も、もう不満ばかりで世論調査の支持率は30%と、誕生時の半分以下に下がり、みんなガッカリなのである。「まだ後4年続く大統領」などと、強烈なタイトルの記事まで見られる。しかしこれはどこの国でも同じで、政権を取れば日本の民主党でも同じだったはず。半分は不満と反対なのだから、世論調査なんてあまり気にすることなく、実行と決断の政治指導者が大切なのだろう。
労働を売りたくても、買い手の無いのが大問題で、絵描きが絵を描いて売れないのとは訳がちがう。皆が高く売りたくて学歴を付けたり、労働者の権利は充分に保護され、最低賃金の法律基準は、毎年ベースアップして政府は人気取り。人を雇えば、仕事が出来ようと、出来まいと最低それだけの給料は払わないとならないのである。経済状況などとは関係なく最低賃金と公共料金だけは、どうした基準で毎年上昇アップするのか誠に不思議。雇用者が納める雇い人への強制保険負担分、人を雇うことへの各種税金、社会分担金が、これも高く、計算する時に100のサラリーを一人に渡すためには、経営者の準備するサラリー額は実質150が必要と、昔は言われていたが、現在では又色々な特別税や負担が新設加算されて170位をみて計算しておかなければならないと、常識を教えられる。うっかり人を正規に雇えないのである。正式に雇えば、法律に守られ首は切れない、経費はかかる、たいへんなことになるから、畢竟トラバイユ・ノアールと呼ばれるバイト的闇労働、雇用助成金狙いのただ働らかせ利用の手口も増える。政府は失業対策に頭を痛めるが、職のあるのが不思議に見える。

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