「スキーバカンスのパリ」

 今の日本からでは、熱気のあるのは料理業界。若者シェフが次々に登場する。ミシュランの今年の新版が出たが、現代レストランのコンセプトはすっかり変わっていて、モダンでミニマリストのような店が取り上げられているのを発見。昔から有名で、伝統的なパリ風の店とわれわれが愛用するような店は、近年は消されて、あの店が落ちるのと驚くことが多い。みんな営業しているのだけれど、時代の好みが変わっている理由らしい。しかしとにかく物は溢れて買う気起こらず、商店はひっそりしても、一般にレストランだけは満員で溢れている。
 日本のアニメ、1970年代の「グレンダイザー」が、フランスでは「ゴールドラック」という題名で1978年にテレビで大人気をおさめた。今年2月パリの競売場で、玩具のゴールドラックゴム製宇宙船が、18125ユーロ(約200万円)で落札され、パリジャンを吃驚させた。いろいろなアニメグッズの人形の店が、パリの各所で繁盛しているが、ビンテージ物、時代の古い本物の初版ものは、最早コレクションの対象なのである。古いポスター、人形、ゲーム器などが、10万、20万、100万円近くまで、この日の競売で競り上がり、みんな物置箪笥の中をひっくり返すことだろう。
 3月25日まで、パリのポンピドーセンターでは、「ダリ展」が続いている。没後30周年、120点の絵画に加えて、色々な資料の本格的回顧展、昨年11月下旬から、4ヵ月間続くが、人気で入場に2-3時間の行列、現在までで60万人の入場者である。先週終わったパリ農業見本市で675,000人の入場者だったのだから、館側でも予想外の凄い人気である。超現実派で奇妙といっても、物を描いているのだから説明ができる。そこが親子連れにも受けている。それにダリ自身がチョコレートのコマーシャルでTVに登場したりしているので、子供の頃見ていたと、懐かしがる親も多いのだそうである。

2013年3月10日 赤木 曠児郎

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