岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2010年10月10日

「ペロペロ油を舐める秋」

 パリの地下鉄の車輌の、天井にとどきそうな背の高い、脚の長い、ほっそりとした女の子が目に付くようになる。パリ・ファッション週間である。90社ほどのいろいろな婦人服デザイナーコレクションが、この10日間ばかりパリで開かれるから、仕事を求めてファッションモデルたちが集まってくるからである。その前は、NY、ロンドン、ミラノ、次は東京というように、開催される土地を、世界を股に移動している美女達である。というより、やっぱり肉がない位に細くて、ヒョロ高くて目立つから、本人たちも、案外気にしているかもしれない。もう少し肉付きが良くなって、この位の背丈があると、ミス・ユニバースのコンテストだとか、リドやムーラン・ルージュの踊り子に採用されるのだろうが、ファッションモデルは、とにかく細くなくてはいけない職業である。それがステージの上だと、映えるから求められる。顔は化粧でどうにでもなり、様々なお国ぶりである。日本人は胴長、短足だからこんなに脚長に、ニューッと目の前に立たれると、日本人の洋服デザイナーは何しているんだろう、この人たちに着せて似合う服を作っても、同じ土俵では太刀打ちできないのにと思ってしまう。日本人の背丈用、独自の美しさを創りださない限り、世界に日本モードの発信は無いだろう。

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