バスティーユ広場(赤)
 

「七月のパリ」

 経産省の傘下にジャパン・クリエーションという団体があって、日本の新繊維製品の紹介がTOKYO・FIBER展として、世界に向け発信されている。6月末に3日間だけ、昔のパリ国立近代美術館跡、現在のパレ・ド・トウキョウ現代美術催し会場の、二階フロアーのコーナーで開かれた。伊藤忠パリ事務所とジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)パリ事務所が、キャンペーンにあたっていたが、日本の人工化学繊維最新テクノロジー織物と、現代モダンデザイン製品との組み合わせ、ソニー、松下、セイコーなど有名企業のデザインチームやデザイナー、建築家などが新織物を現代生活にどのように生かすか競作したもの。期間は短いし、地味な展覧会のようだったが、意外と口コミの噂を聞いて、デザイン関係の若者など、一日千人位の入場者で大盛会だった。会場で各社派遣の説明員の人がいて、珍しく丁寧に、新繊維の特徴やデザイン意図を説明してくれるのが有り難く、一層の興味が現代美術館なのに沸いた。新テクノロジーに、みんな敏感なのだ。
 パリ日本文化会館オープン10周年記念説明記者会見が、外国人プレスセンターでもあったが、能、狂言、浮世絵展の催しとか、館側が過去の催しを色々上げるのに、フランス人有力参加者側から、この10年、私たちの一番興味あったのは、ロボット文化展と縄文土器展だったのだが、これを挙げるのを忘れてもらっては困ると、逆質問の発言もあって気付かされる。とにかく、何か新しい文化やテクノロジーが日本から生み出されそうなのに、期待されているのである。
 バブルが弾けた後、後退、退け退け縮小が企業のムード、そんな10年の波が過ぎて、やらねばすぼんでしまう、何かやらなければと、流れの上向き気分になったのを感じる昨今である。

2007年7月6日 赤木 曠児郎  
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