ルネッサンス劇場
 

「フランスの騒動」

 ヨーロッパの国々の繁栄は、昔はアメリカ大陸との奴隷三角貿易とか、インカの黄金の略奪、十九世紀は植民地の経営と、収奪からなったものである。つい五十年ほど前に、第二次大戦後に多くの国々が独立、元の宗主国に対して責任の刃(やいば)を突きつけ続けているのである。この国で韓国と日本の関係を説明するためには、アルジェリアとフランスの関係と同じなんですと言えば、一言で理解され、済んでしまうのである。
 そして沢山の旧植民地国の人々がフランスに住み、戦後復興期には、安い労働力として移入が推進された時代も、オイルショックの頃まで続いていた。生活レベルも高く、社会保障制度の行き届いているフランス本国は、新生国家から見ればパラダイスのようなものであった。この国は生地主義を取っているから、フランスの国内で産まれれば、成人になればフランス人である。郊外に沢山の低所得者用公団住宅をどんどん建設し、労働移民家族もスラム街に住まなくても、入居させて来た。この社会保障制度を維持のためには財源が必要だから、何にでも税金とか、保障負担が掛かる。国民総生産の約半分は、政府が吸い上げて、バラ巻いているのである。消費税は19.6%だし、今度少し変わったが、テレビの聴取料ではなくて、器械を持つことへの課税なのである。

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