アドルフ・シェリウー広場の野外音楽堂
 

「猛暑」

 栄光教育文化研究所というところの所有の江戸百景コレクションを、今回初めてゆっくり見て、このところ少し憑かれたように、出されている画集を何種類か手に入れ、比べて見ている。
 結構、出鱈目なのである。紺色の空の摺りもあるし、赤茶の空の色のものもあるし、同じ図柄の浮世絵が、摺ったときの版元、職人さんの判断でさまざま、元の墨線の墨板だけは厳密らしいが、後の色板はアバウトもいいところ。節約したり、キモノの色、川の色、木の色、自由自在。日本人は厳密で、ミリメートルの針目までキッチリでないと合格しない、几帳面さが売り物と思っていたのだが、この大江戸のおおらかさ。この色だとこんな効果か、ヘーこんな摺り色もあるんだと、本を持ちこんで見比べては、飽きないのである。グローバル、画一化の時代に、ホノボノ、猛暑のしのぎにのんびりとした気分なのである。


2005年6月27日 赤木 曠児郎  
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